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脳卒中の後遺症で再生医療が適応される4つのケースとリスクについて

脳卒中後の後遺症でお悩みの方に向けて、脳卒中後の再生医療について解説いたします。

脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など脳卒中を経験した後、大きな悩みとなることがあるのが後遺症です。

症状を改善したいと思っても、治療方法は限られています。
脳の再生医療もひとつの方法ですが、リスクや問題があるのではないかと不安な方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回の記事では、脳卒中後の再生医療について解説します。
リスクや治療の流れについてもご紹介しますので、治療法を選ぶ際の参考になるでしょう。

脳卒中とは

まず「脳卒中」とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳に血液が届かなくなる疾患の総称です。

血液の供給が途絶えることにより、脳の働きが悪くなり、結果として身体をうまく動かせなくなります。

重症化すると命に関わる可能性があり、たとえ一命を取り留めたとしても、後遺症が残るケースも少なくありません。

該当するのは「くも膜下出血」「脳出血」「脳梗塞」の3つです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.くも膜下出血

「くも膜下出血」は脳動脈瘤と呼ばれる血管のこぶが破れ、脳を覆う「くも膜」の内側で出血が生じた状態のことです。

脳卒中の中でも重症であるとされ、後遺症が残る可能性も高いと言えるでしょう。
40代以降の女性で発症することが多く、突然、脳動脈瘤が破れて出血を引き起こします。

そして突然の激しい頭痛や意識障害などの症状が現れ、昏睡状態に陥ることも珍しくありません。

手足のマヒが起きたり、視覚に異常が生じたりすることもあります。
以上のようにくも膜下出血とは脳のくも膜の下で、血管が破れることによって生じる疾患です。

関連記事:くも膜下出血には前兆がある?早め処置が予後に大きく影響!原因や症状、治療法を解説

関連記事:くも膜下出血で見られる後遺症と合併症とは?治療のための基礎知識

関連記事:くも膜下出血後の再生医療は有効?後遺症に対する適応について

2.脳出血

「脳出血」も脳の血管が破れることにより発症する疾患です。
脳の表面で起きることが多く、主な原因は高血圧と脳アミロイド血管症であるとされています。

くも膜下出血との違いは、脳動脈瘤ではなく小さな血管が破れること、そしてくも膜の内側ではなく表面で出血が生じやすいことの2つです。

脳にある血管であれば、どこで破れても脳出血とされます。
頭痛や吐き気、嘔吐、しびれ、手足のマヒ、会話のしにくさなどが症状として見られます。

くも膜下出血と同様に意識障害が起こり、亡くなることも少なくありません。

参照:国立循環器研究センター:脳卒中

3.脳梗塞

脳梗塞は脳の血管が詰まることで、脳細胞の働きが低下する疾患です。
3種類の脳卒中の中で最も割合が大きいとされているのが脳梗塞です。

脳出血やくも膜下出血との大きな違いは、猶予があることです。
血管が詰まったままで数時間が経つと脳の細胞は死んでしまいますが、発症から数時間の間に処置できれば脳細胞は守られます。

発症時には、マヒやしびれ、発話の困難、めまいやふらつきなどの症状が現れます。
脳梗塞は脳卒中の中でも多く見られる脳卒中の一種であり、発症しても回復が期待できるとされています。

脳卒中の後遺症

脳卒中が引き起こされると、後遺症が残ることが多いとされています。
それではどのような後遺症が残るのか、3つの観点から見ていきましょう。

後遺症1:神経障害

まず身体を動かしたり感覚を得たりする神経が傷害されることによって起きるのが「神経障害」です。

次のような症状が現れることが多く見られます。

【症状】

  • 手足のマヒやしびれ
  • 触感・冷感・温感の低下
  • バランス力の低下
  • ふらつき
  • 視野障害

脳の特定の部分が傷害を受けることによって、神経系の障害が現れることは少なくありません。

手足がマヒしたりしびれたりして、動かしにくくなることもあるでしょう。
また、バランスを取る能力が低下し、ふらつきが見られることもあります。

視覚を司る部位に傷害が生じると、視野障害が生じることもあるでしょう。

どのような後遺症となるかは脳の傷害された部分により変わりますが、神経障害はよく見られる後遺症とも言えます。

後遺症2:感情障害

「感情障害」とは、脳の中でも感情に関わる部分に傷害が生じたときに起こる可能性のある後遺症です。

【症状】

  • 無感情
  • 無関心
  • 抑うつ状態

脳卒中を経験した方は、うつ病になりやすくなるとされています。

感情が失われたようになる、ものごとへの関心が薄れる、抑うつ状態になるなどの状態が見られることもあります。
後遺症として感情障害が残ると、ぼんやりとし、覇気がなくなったように見えることもあります。

後遺症3:高次機能障害

「高次脳機能障害」は、日常生活の中で行うことがうまくできなくなる後遺症のことです。

たとえば次のような症状が考えられます。

【症状】

  • 物を片付けたり置いたりした場所を忘れる
  • 記憶力の極端な低下が見られる
  • 2つの作業を同時にできなくなる
  • 計画どおりに物事を遂行できなくなる
  • 約束の時間を守れなくなる

また、中には興奮すると暴力を振るったり、自己中心的な振る舞いをしたりするようになる方もいます。
身体は健康であるものの、脳への傷害が残るタイプの後遺症が高次脳機能障害です。

参照:高次脳機能障害情報・支援センター:高次脳機能障害を理解する

脳卒中の再生医療とは

脳卒中の再生医療とは、傷害を受けた脳細胞の再生や神経ネットワークの構築を促す治療法です。
傷害を受けた部分の血管や神経、組織の回復を目指します。

「再生医療」とは、機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対して、細胞や人工的な材料を積極的に利用して、その機能の再生をはかるものです。

脳卒中で後遺症が残った場合にも再生医療で対応できるとされており、治療を受けることで症状の改善が期待できるでしょう。

関連記事:再生医療の効果とは?4つの治療方法の特徴と副作用・デメリット

関連記事:再生医療にリスクはある?3つのリスクと事前に知っておきたい注意点

参照:再生医療とは、どんな治療ですか?

再生医療が行われるケース

脳卒中で再生医療が適用される主なケースは次の4つに分類されます。

ケース1:感覚障害

まずは感覚障害です。
感覚障害とは、次のような症状を伴う状態です。

【症状の一例】

  • 手足にマヒやしびれが残っている
  • 物に触れる感覚が低下している
  • 熱いものや冷たいものを触っても温度感がない

たとえばゴム手袋をしていると、物に触れた感覚が低下します。
常にゴム手袋をしているような状態になり、触感が失われたような症状が見られるでしょう。

またマヒやしびれも感覚障害のひとつです。
触感が低下し、細かな仕事をしたり運動能力が低下したりした状態が感覚障害と言われます。

関連記事:脳梗塞によって発症する「感覚障害」とは?詳しい症状と治療法を解説

ケース2:歩行障害

再生医療は脳卒中による歩行障害にも利用されることがあります。

【症状】

  • 脚にしびれやマヒが見られる
  • 歩くときにふらつきやすい

歩行障害が起きると歩くことが難しくなり、つまづきや転倒のリスクが高まります。

早期のリハビリによって回復が見られることもありますが、もし回復されない場合は日常生活に大きな支障を与えるはずです。

再生医療によって神経を再生できれば、歩行障害が改善される可能性もあります。

ケース3:排せつ障害

続いては排せつ障害についてです。

【症状】

  • 排尿や排便をご自身でコントロールできなくなる
  • 用を足すときに痛みが感じられる

排尿を調整するための神経が失われると、排せつ障害となります。
たとえば膀胱を膨らませること、尿道を閉じること、排尿時に尿道を緩めることなどは神経の働きによって成り立つものです。

排せつに関与する神経が損傷すると、排せつ障害が生じますが、再生医療による治療が受けられる可能性があります。

ケース4:失語症・言語障害

再生医療が行われる脳卒中の後遺症のひとつとして、失語症や言語障害もあげられます。

【症状】

  • 文字が読めなくなる
  • 文字を書けなくなる
  • 会話が難しくなる
  • 話しかけられている内容を理解しにくくなる

言語の理解や表現が困難になるのが、失語症や言語障害です。
大脳や側頭葉、前頭葉にある言語中枢が傷害を受けると、言葉に対する理解度が低くなってしまいます。

再生医療によって傷害を受ける前の状態に戻せれば、失語症や言語障害が改善される可能性もあるでしょう。

脳卒中の再生医療におけるリスク

脳卒中に再生医療(細胞移植)を適応する際には、次のようなリスクがあります。

【リスク】

  • アレルギー症状が現れることがある
  • 肺血栓塞栓症に罹患する
  • 感染症のリスクがある
  • 皮下において出血が起きることがある
  • 不快感や熱感を抱くことがある

細胞移植では腰から骨髄液を採取し、患部に骨髄幹細胞を投与する処置が行われます。
骨髄液の採取時と投与時に、上記のような症状が出る可能性があります。

たとえばアレルギーによるショック症状が現れたり、肺血栓塞栓症に罹患したりすることもあるでしょう。

処置においては針を使用するため、まれに感染症が生じる場合もあります。
出血や不快感、熱感が伴うことも多く、脳卒中で再生医療を選択するならリスクについても知っておくことが大切です。

脳卒中のひとのわメディカルの再生医療について

ひとのわメディカルでは、脳卒中後の後遺症に対する治療として、「歯髄幹細胞培養上清液(SHED-CM)」を用いた再生医療的アプローチを行っています。

歯髄幹細胞培養上清液とは、乳歯由来の幹細胞を培養した際に分泌される成分(サイトカインや成長因子など)を含む液体で、細胞自体は使用せずに、その分泌液のみを抽出・精製して使用します。

このため、細胞移植のように手術や採取処置が不要で、感染症や拒絶反応といったリスクを最小限に抑えられることが特徴です。

また、点滴による全身投与や経鼻投与(点鼻)といった低侵襲な方法での投与が可能であり、患者様への身体的負担が少ない点も大きな利点とされています。

現在までに、運動麻痺や感覚障害、高次脳機能障害など、脳卒中後の多様な後遺症に対しての使用実績があり、一定の改善がみられたケースも報告しています。
ただし、効果には個人差があり、すべての方に効果があるわけではないため、事前に医師との十分な相談が必要です。

再生医療は、従来の治療法だけでは改善が難しい症状に対して、新たな可能性を提供する補完的選択肢の一つとして期待されています。

関連記事:なぜ再生医療が効果的?脳卒中:ひとのわメディカルの事例紹介1

脳卒中のひとのわメディカルでの再生医療の流れ

最後に、ひとのわメディカルで脳卒中後の後遺症に対して行っている再生医療の流れについてご紹介します。

当院では、歯髄幹細胞培養上清液(SHED-CM)を使用した治療を行っており、手術を必要としない低侵襲な方法で、当日から投与が可能です。

【再生医療の流れ】

  1. 問診・カウンセリングまずは、現在の症状や既往歴、治療歴などを丁寧にお伺いし、再生医療が適応可能かどうかを医師が判断します。
  2. 事前評価(検査・評価)必要に応じて血液検査や神経機能の測定を行い、治療前の身体状態を客観的に把握します。
  3. 点滴による投与点滴により歯髄幹細胞培養上清液を静脈内に投与します。細胞は含まれていないため、免疫拒絶や腫瘍化のリスクが低く、安全性に配慮された方法です。手術は必要なく、外来での処置が可能です。治療は当日から受けていただけます。
  4. リハビリテーションの併用再生医療の効果をより引き出すため、治療後はロボットリハビリHALやVRリハビリカグラによるリハビリテーションを組み合わせて行うことを推奨しています。神経可塑性を活かした回復支援により、日常生活動作の改善や機能回復を目指します。

ひとのわメディカルでは、安全性に配慮した医師主導の再生医療を通じて、脳卒中後のQOL(生活の質)向上に取り組んでいます。

脳卒中への再生医療適応は後遺症軽減に効果が期待できる

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、脳卒中時の再生医療についてご理解いただけたと思います。

再生医療を利用することで、傷害を受けた神経や組織を再生し、後遺症を軽減できるかもしれません。

ひとのわメディカルでは脳卒中を経験された方に向けて、再生医療とリハビリテーションを組み合わせた治療を行っております。
日常生活の課題に対する支援を提供しています。

院長 瀨田康弘の写真

瀨田 康弘

ひとのわメディカル 院長|再生医療認定医

神経疾患・難病への再生医療アプローチを専門とする。ALS特定臨床研究(jRCT031230731)の主研究者。