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スマホ認知症の症状とは?|受診の目安と何科に行くべきか医師が解説

「最近、物忘れが増えた」「集中力が続かない」「言葉が出にくい」と感じたとき、スマホの使いすぎが原因なのか、それとも認知症のような病気が隠れているのか、不安になる方もいるのではないでしょうか。

スマホ認知症は、医学的な正式診断名ではありません。しかし、スマートフォンの長時間使用、情報過多、睡眠不足、通知による注意力の分散などによって、認知症に似た不調を感じることがあります。

この記事では、スマホ認知症でみられやすい症状、認知症・MCIとの違い、医療機関を受診した方がよい症状、何科に相談すればよいかについてわかりやすく解説します。

なお、セルフチェックや症状一覧だけで病気を診断することはできません。症状が続く場合や、日常生活・仕事に支障が出ている場合は、自己判断せず医療機関へ相談することが大切です。

スマホ認知症(デジタル認知症)とは

スマホ認知症、またはデジタル認知症とは、スマートフォンやデジタル機器の使いすぎによって、物忘れ、集中力の低下、言葉が出にくい、頭がぼんやりするなど、認知症に似た不調を感じる状態を指す俗称です。

医学的には「スマホ認知症」という正式な病名や診断基準はありません。そのため、症状に当てはまるからといって、すぐに認知症と考える必要はありません。

一方で、スマートフォンの使用習慣が、注意力、記憶、ワーキングメモリなどの認知機能と関連する可能性は報告されています(Wilmerら, 2017)。また、スマートフォン使用が注意や抑制機能、ワーキングメモリに与える影響についても研究されていますが、その影響は使用時間だけでなく、使い方や使用目的によって異なる可能性があります(Liebherrら, 2020)。

つまり、スマホ認知症は「スマホが認知症を直接引き起こす」という意味ではありません。スマホの使い方や生活習慣の乱れによって、一時的に記憶力や集中力が落ちているように感じる状態として理解するとよいでしょう。

スマホ認知症が起こる主な原因

スマホ認知症と呼ばれる不調には、いくつかの要因が関係すると考えられます。

代表的なものは、SNSやニュース、検索、ショート動画などによる情報過多です。短時間に多くの情報を見続けると、内容を十分に整理できず、「覚えたつもりなのに思い出せない」「頭が疲れる」と感じることがあります。

スマホゲームやショート動画など、やめるタイミングが難しいコンテンツも注意が必要です。「少しだけ」のつもりが長時間になり、睡眠時間や運動時間が削られることがあります。

特に寝る前のスマホ使用は、睡眠の質に影響する可能性があります。スマートフォンの過度な使用は、睡眠の質の低下や睡眠不足、寝つきの悪さと関連することが報告されています(Chuら, 2023)。睡眠不足が続くと、翌日の集中力や記憶力にも影響しやすくなります。

認知症・MCI(軽度認知障害)との違い

スマホ認知症と、認知症やMCIは区別して考える必要があります。

認知症は、記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態を指します。MCIは軽度認知障害とも呼ばれ、認知機能の低下はあるものの、日常生活はおおむね自立している状態です。MCIのすべてが認知症へ進行するわけではありませんが、一部は認知症へ移行する可能性があります。

一方、スマホ認知症と呼ばれる状態では、スマートフォンの使用時間や使い方、睡眠、運動、生活リズムを見直すことで改善が期待できる場合があります。たとえば、寝る前のスマホを控える、通知を減らす、SNSや動画の時間を区切るといった対策で、頭のぼんやり感や集中力低下が軽くなることがあります。

ただし、スマホの使用時間を減らしても症状が続く場合や、物忘れが徐々に悪化している場合、仕事や家事に支障が出ている場合は注意が必要です。認知症やMCI、うつ病、睡眠障害、甲状腺疾患、薬の影響など、他の原因が隠れている可能性もあります。

なお、50歳以上を対象としたメタ解析では、デジタル機器の使用そのものが認知機能低下リスクを高めるという結果ではなく、むしろ認知機能の維持と関連する可能性も報告されています(Benge & Scullin, 2025)。そのため、「スマホを使うこと自体が悪い」と考えるのではなく、使い方や生活への影響を確認することが大切です。

スマホ認知症でみられる主な症状一覧

スマホ認知症と呼ばれる状態では、物忘れだけでなく、集中力の低下、言葉が出にくい、頭が疲れやすい、眠りが浅いなど、さまざまな不調がみられることがあります。

ただし、これらの症状があるからといって、必ずスマホ認知症というわけではありません。睡眠不足、ストレス、うつ病、認知症、MCI、薬の影響などでも似た症状が出ることがあります。

ここでは、スマホの使いすぎや生活習慣の乱れと関連して起こりやすい症状を整理します。

記憶力・集中力・言葉の症状

スマホ認知症でよく相談される症状の一つが、「覚えにくい」「思い出しにくい」「集中できない」といった不調です。

たとえば、次のような症状があります。

症状

具体例

記憶力の低下

調べた内容をすぐ忘れる、人や物の名前が出てこない

集中力の低下

仕事や勉強に集中できない、作業中にすぐスマホを見てしまう

注意力の低下

ミスが増える、話を聞いていても内容が頭に残りにくい

言葉が出にくい

会話中に言葉につまる、漢字や表現を思い出しにくい

思考力の低下

考えがまとまらない、文章を読むのが面倒に感じる

判断力の低下

物事を決めるのに時間がかかる、優先順位をつけにくい

スマートフォンでは、SNS、ニュース、検索、動画などから短時間に多くの情報が入ってきます。そのため、情報を見ている時間は長くても、内容を整理したり、自分で考えたりする時間が少なくなることがあります。

また、通知やメッセージを頻繁に確認していると、集中が何度も中断されます。作業の途中でスマホを見る習慣が続くと、「何をしていたか忘れる」「集中が戻りにくい」と感じることがあります。

検索や予測変換に頼る機会が増えることで、言葉や漢字を自分で思い出す機会が減る場合もあります。これは便利な機能を使うこと自体が悪いという意味ではありませんが、「思い出す力」を使う場面が少なくなっている可能性はあります。

睡眠障害・脳疲労・精神的な症状

スマホ認知症と呼ばれる不調では、睡眠や気分に関する症状が目立つこともあります。

特に、寝る前にスマホを長時間見ている方、夜間通知が気になる方、動画やSNSを見続けて寝る時間が遅くなる方では、睡眠不足や日中のぼんやり感につながることがあります。

症状

具体例

睡眠障害

寝つきが悪い、夜更かしが増える、眠りが浅い

日中の眠気

朝起きても疲れが残る、日中にぼんやりする

脳疲労感

頭が重い、情報を見すぎて疲れる、考えるのが面倒になる

イライラ・不安

通知が気になる、SNSを見て気分が落ち込む

スマホ依存傾向

スマホがないと落ち着かない、予定より長く使ってしまう

意欲低下

外出や運動、人との会話が減る

スマホによる不調は、「見すぎ」だけでなく、「いつ見るか」「何を見るか」「どのような気持ちで使っているか」も関係します。

たとえば、寝る前にSNSや動画を見続ける背景には、単なる習慣だけでなく、日中の満足感や疲労感が関係している場合もあります。日中に身体を動かす時間が少なかったり、やり残した感覚があったりすると、寝る前にスマホで気分を満たそうとしてしまうことがあります。

そのため、スマホの使用時間だけを減らそうとするのではなく、睡眠、運動、日中の活動、人との会話など、生活全体を見直すことが大切です。

スマホ認知症と思っていても注意が必要な症状

スマホ認知症と呼ばれる症状の中には、生活習慣を見直すことで改善が期待できるものがあります。一方で、認知症やMCI、若年性認知症など、医療機関で確認した方がよい症状が隠れている場合もあります。

大切なのは、「スマホのせい」と決めつけないことです。症状の出方や経過、日常生活への影響を確認しながら、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。

生活習慣の見直しで改善が期待できる症状

次のような場合は、スマートフォンの使い方や生活習慣が不調に関係している可能性があります。

状態

考えられる背景

スマホを長時間使ったあとに頭がぼんやりする

情報過多、脳疲労

寝不足の日に物忘れやミスが増える

睡眠不足、生活リズムの乱れ

通知が多いと集中できない

注意力の分断

SNSや動画を見すぎた後に気分が落ち込む

情報過多、比較、不安

スマホを減らすと少し頭がすっきりする

生活習慣の影響が大きい可能性

このような場合は、まずスマホの使用時間を見直す、通知を減らす、寝る前のスマホを控える、日中の運動量を増やすといった対策から始めるとよいでしょう。

特に、症状に波があり、睡眠不足やスマホ使用時間と関連して悪くなる場合は、生活習慣の影響を受けている可能性があります。

認知症・MCI・若年性認知症が疑われる症状

一方で、次のような症状がある場合は、スマホ認知症だけでは説明できない可能性があります。

注意したい症状

具体例

物忘れが徐々に悪化している

数か月単位で忘れる頻度が増えている

同じことを何度も聞く

直前に聞いた内容を忘れる

仕事や家事に支障が出ている

もともとできていたのに手順をよく間違える、段取りが組めない

慣れた場所で迷う

通勤経路やよく行く場所で迷う

家族や職場から変化を指摘される

性格や行動、ミスの増加を指摘される

65歳未満で生活や仕事に支障がある

若年性認知症などの確認が必要な場合がある

これらの症状があるからといって、必ず認知症というわけではありません。うつ病、睡眠障害、甲状腺疾患、ビタミン不足、薬の影響などでも似た症状が出ることがあります。

しかし、症状が続く場合や徐々に悪化している場合は、早めに医療機関で相談することが大切です。原因を確認することで、必要な治療や生活上の対策につながる可能性があります。

スマホ認知症は何科を受診する?

スマホ認知症が気になる場合、「何科を受診すればよいのか」と迷う方も多いと思います。

スマホ認知症は正式な診断名ではないため、「スマホ認知症専門の診療科」があるわけではありません。実際には、物忘れ、集中力低下、睡眠、気分の落ち込み、頭痛や神経症状など、どの症状が中心かによって相談先が変わります。

症状が続く場合や生活に支障がある場合には、別の病気が隠れているかもしれないです。「スマホの使いすぎだから大丈夫」と決めつけず、原因を確認するために医療機関へ相談しましょう。

受診をおすすめする症状

次のような症状がある場合は、医療機関への相談を検討しましょう。

受診を考えたい症状

具体例

物忘れが続いている

同じことを何度も聞く、予定を忘れる

仕事や家事に支障がある

ミスが増えた、段取りが組みにくい

言葉が出にくい状態が続く

会話中に言葉につまる、物の名前が出ない

家族や職場から変化を指摘された

性格や行動の変化、ミスの増加を指摘される

スマホの使用を減らしても改善しない

1か月ほど生活習慣を見直しても変化が乏しい

睡眠や気分の不調が強い

不眠、不安、気分の落ち込み、意欲低下がある

頭痛、麻痺、ろれつが回らないなどがある

脳や神経の病気が関係している可能性がある

これらの症状があるからといって、必ず認知症というわけではありません。睡眠不足や疲労、ストレス、うつ病、甲状腺疾患、ビタミン不足、薬の影響などでも、物忘れや集中力低下が起こることがあります。

ただし、症状が長く続く場合や、徐々に悪化している場合は注意が必要です。早めに原因を確認することで、生活習慣の改善、治療、必要な支援につながる可能性があります。

受診先として考えられる診療科

物忘れや認知機能の低下が気になる場合は、脳神経内科、もの忘れ外来、精神科、心療内科などが相談先になります。

脳神経内科やもの忘れ外来では、認知症やMCI、脳血管障害、神経疾患などがないかを確認します。必要に応じて、認知機能検査、血液検査、頭部MRIなどの画像検査を行うことがあります。

一方で、不眠、不安、気分の落ち込み、意欲低下、強いストレスが目立つ場合は、精神科や心療内科での相談が役立つことがあります。うつ病や不安障害、睡眠障害でも、物忘れや集中力低下が目立つことがあるためです。

どの科を受診すればよいか迷う場合は、まずかかりつけ医に相談しても問題ありません。症状を整理したうえで、必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらうことができます。

受診時には、いつから症状があるのか、悪化しているのか、スマホの使用時間、よく使うアプリ、睡眠状態、仕事や家事への影響などをメモしておくと、診察で状況を伝えやすくなります。

認知機能低下が気になる方はご相談ください |ひとのわメディカルでできること

スマホ認知症と呼ばれる不調は、生活習慣の見直しによって改善が期待できることがあります。一方で、認知症やMCI、若年性認知症、睡眠障害、うつ病、神経疾患などが関係している場合もあります。

「最近物忘れが増えた」「スマホ認知症かもしれない」「何科を受診すべきかわからない」と不安を感じている方は、一人で抱え込まず、医療機関へ相談することも大切です。

ひとのわメディカルでは、認知機能低下や神経疾患に関するお悩みについてご相談をお受けしています。患者さんの症状や生活状況を丁寧に伺いながら、必要に応じて検査や専門医療機関での評価も含めて、今後の方針を一緒に考えていきます。

認知症・神経疾患に対する再生医療という選択肢

ひとのわメディカルでは、認知症や神経疾患に関連する症状に対して、歯髄幹細胞培養上清液を用いた治療を行っています。

歯髄幹細胞培養上清液とは、歯の神経に由来する幹細胞を培養した際に得られる上清液のことです。基礎研究や動物実験では、神経保護作用、抗炎症作用、血管新生に関わる作用などが報告されていますが、認知症に対する標準治療として確立しているわけではありません。

また、すべての方に同じ効果が期待できるものではなく、症状や病態によって適応や期待できる効果は異なります。現在もさまざまな研究が進められている分野であり、治療を検討する際には、医学的な根拠と限界の両方を理解することが大切です。

当院では、患者さん一人ひとりの状態を丁寧に確認し、ご相談のうえで治療方針をご提案しています。

認知機能の低下が気になる方、スマホ認知症と認知症の違いが不安な方、神経疾患に対する再生医療について相談したい方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

スマホ認知症は、医学的な正式診断名ではありません。しかし、スマートフォンの長時間使用、情報過多、通知による集中力の分断、睡眠不足などによって、物忘れや集中力低下、言葉が出にくい、頭がぼんやりするといった不調を感じることがあります。

スマホ認知症でみられる症状には、記憶力や集中力の低下だけでなく、睡眠障害、脳疲労感、不安やイライラ、スマホ依存傾向なども含まれます。症状が睡眠不足やスマホ使用時間と関連して悪くなる場合は、生活習慣の影響を受けている可能性があります。

一方で、物忘れが徐々に悪化している、同じことを何度も聞く、仕事や家事に支障が出ている、慣れた場所で迷う、家族や職場から変化を指摘されている場合には、認知症やMCI、若年性認知症など他の病気が隠れている可能性もあります。

スマホ認知症が気になる場合は、まずスマホの使い方、通知設定、寝る前の習慣、睡眠、運動などを見直してみましょう。それでも症状が続く場合や、日常生活に支障がある場合は、脳神経内科、もの忘れ外来、精神科、心療内科、またはかかりつけ医に相談することをおすすめします。

大切なのは、「スマホのせい」と決めつけず、症状の経過や生活への影響を確認することです。不安な症状が続く場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

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瀨田 康弘

ひとのわメディカル 院長|再生医療認定医

神経疾患・難病への再生医療アプローチを専門とする。ALS特定臨床研究(jRCT031230731)の主研究者。