
脳梗塞に罹患すると、さまざまな身体への影響がみられます。
なかでも感覚に関する症状は、感覚の鈍さ、または過敏になるといった個人差があり、それらをまとめて感覚障害と呼びます。
脳梗塞に起因する運動機能の障害は、リハビリテーションなどを行って回復を目指すことができますが、まずはどのような障害があるのかを把握することが大切です。
この記事では、脳梗塞による感覚障害の概要や感覚障害の予後、感覚障害の治療方法を紹介します。
脳梗塞による感覚障害とは

脳梗塞による感覚障害とは、感覚に何らかの異常がみられる状態です。
脳にある感覚をつかさどる部分が何らかの障害を受けることで、肌に感じる感覚が低下や消失、または過敏な状態になることです。
人間の感覚は、感覚神経によって維持されています。
触覚や痛覚のほか、温度覚・振動覚・位置覚といったさまざまな感覚機能が備わっていますが、脳梗塞によって感覚神経に何らかの異常な反応をきたすと、次のような症状がみられます。
感覚過敏
感覚過敏とは、通常の状態では不快に感じない刺激を強く感じる、または不快・苦痛に感じる状態です。
たとえば、軽く触れられるだけで痛いと感じたり、衣類が肌に触れるだけで強い違和感を覚えたりするような状態を指します。
温度変化に敏感になる、身体の特定の部位だけが敏感に感じるような場合も、感覚過敏の一種です。
脳梗塞によって脳の感覚をつかさどる領域が障害され、感覚の処理や伝達に何らかの異常が起きると、感覚過敏を引き起こすことがあります。
異常感覚
異常感覚は、刺激を与えられていないにもかかわらず、不快な感覚やおかしな感覚が生じる状態を指します。
チクチク・ピリピリ・ズキズキ・熱感や灼熱感・麻痺ではないしびれ感・虫が這うような感覚がその一例です。
皮膚に何も触れていないにもかかわらずこれらの症状がみられるケースもあり、一種の異常感覚として扱われます。
感覚を処理する脳の機能が障害されると、脳内の神経信号が誤って発信されたり、実際にはない刺激を感知することがあり異常感覚が現れることがあります。
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鈍感覚
鈍感覚(どんかんかく)とは、本来感じるべき触覚や温度覚などの感覚がうまくはたらかず、感じにくくなる状態です。
触られてもすぐに気づかない・感じない、針などが刺さったときの感覚が鈍くなる・わからないといったケースが鈍感覚に該当します。
ただし、感覚は依然として残っており、完全に消失したわけではありません。
脳には感覚を処理する部位がありますが、それらが障害されると感覚として発信された信号が正しく伝わらず、信号を受け取っても正しく処理されないため、感覚が鈍くなってしまいます。
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神経痛
神経痛は、ピリッ・ズキッ・チクチクといった鋭い痛みや灼熱感、持続的な痛みを感じる症状です。
医学的な判断により「中枢性疼痛」と診断される場合もあります(※専門医による診察が必要です)。
神経痛は、実際に刺激を受けていなくても痛みを知覚することがあります。
脳梗塞によって感覚をつかさどる部位が損傷され、痛みの信号を正しく処理できなくなると、本来ないはずの痛みを感じることがあります。
実際に身体に受けた痛みではないため鎮痛薬が効きにくいケースもあります。
痛みが慢性的に続いたり、感覚鈍麻と神経痛が同時に発生したりすることもあり、専門医による診察と治療が必要です。
感覚鈍麻
感覚鈍麻(かんかくどんま)は、本来感じるはずのさまざまな感覚が弱まる・感じにくくなる・反応が遅れる状態です。
一例として、足の裏側が感覚鈍麻の状態になっていると、地面の感触がつかみにくくなります。
そのため、固い床の上を歩いているのに「厚いくつ下を履いているような感覚」になったり、正しく地面を知覚できず転倒しやすくなったりします。
脳梗塞によって感覚を処理する領域が障害され、身体から伝わった信号が脳でうまく処理されないために起こりうる症状です。
感覚脱失
感覚脱失とは、触覚や温度覚、痛覚などが完全に失われた状態を指します。
感覚鈍麻のように、感覚が鈍っている状態とは異なり、まったく感じられなくなった状態を指します。
何かに触れても感知できず、痛みやかゆみ、温度やその他の感覚がわからなくなります。
深部感覚と呼ばれる身体の内部からの信号を伝える感覚が失われると、自分の手指や足の位置を認識できなくなり、姿勢の保持や運動が困難になります。
脳梗塞によって感覚をつかさどる部分が広範囲に障害されたときに起こるとされ、脳が感覚信号を完全に受け取れなくなっていると考えられます。
ただし、感覚脱失かそれ以外の症状かは、専門医の診察が必要です。
感覚障害の予後

脳梗塞によって感覚障害が発生した場合、薬物治療・リハビリテーション・再生医療といった対応がとられます。
症状の内容や程度により複数の治療を組み合わせるほか、患者さんごとの治療メニューを組んで機能回復を目指します。
予後を良好に過ごすためには、発症からできるかぎり早期に治療とリハビリを行うことが大切です。
脳梗塞の治療を続けながら、生活指導や専門的なリハビリテーションをスタートします。
脳梗塞発症後、数ヶ月〜年単位で治療やリハビリを続け、症状の回復度合いをみながらその後の対応を決めていきます。
感覚障害の予後を予測するためには、障害された脳の部位や損傷の程度を見極めることが大切です。
具体的な治療やリハビリについては、患者さんごとに対応方法が異なるため、専門医や療法士とよく相談してください。
脳梗塞による感覚障害の治療

脳梗塞による感覚障害の治療には、「薬物治療」「リハビリ療法」「再生医療」の3種類に分けられます。
それぞれどのような方法なのか、詳しくみていきましょう。
薬物治療
薬物治療とは、脳梗塞の原因になる血栓を予防する薬や抗凝固剤・降圧剤などの薬を服用する治療方法です。
脳梗塞の再発予防や後遺症の進行抑制を目的として、経口薬や注射薬などが処方されます。
脳梗塞は再発のおそれがある疾患で、治療を早期に開始することで後遺症を抑えます。
薬物治療は専門医による診断にしたがって治療を開始し、一定期間継続しなければなりません。
自己判断で服薬を中止または遅延させる行為は再発のリスクを高めます。
医師の診断にしたがって適切な治療計画を立て、計画に沿って治療を続けることが大切です。
リハビリ療法
リハビリ療法は、後遺症による麻痺や感覚障害の改善を目的とした運動療法です。
患者さんごとに必要なリハビリテーション内容が異なることを踏まえて、一人ひとりに合ったプログラムを作成し、必要な機能の回復を目指します。
理学療法と呼ばれる方法では、筋力トレーニング・歩行訓練といった方法で身体機能の回復を図ります。
作業療法は、食事や着替えのような日常生活動作を中心に改善を図る方法です。
言語療法は、発声・発話・コミュニケーション・表現の訓練を行い、言語機能の回復を行います。
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再生医療
再生医療は、患者さん自身の細胞を培養し、細胞製剤を製造して投与することで、神経細胞への分化や神経保護を目指す新たな治療法です。
従来の薬物治療やリハビリ療法とは異なる新しい治療ですが、すでに医師主導治験がスタートしており、細胞製剤を使った再生医療の実用化が進められています。
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脳梗塞の再発を予防するために

脳梗塞の再発予防には、専門医と連携し適切な治療やリハビリテーションが大切です。
生活習慣の見直しと改善、定期的な検査や医師によるアドバイスも予防に役立ちます。
服薬は自己判断で中止や減薬をせず、患者さん自身も体調と健康に留意することが大切です。
脳梗塞後の感覚障害の種類や治療法をチェック

今回は、脳梗塞によるさまざまな感覚障害の種類と治療法について紹介しました。
脳梗塞は脳が障害される疾患です。同じ感覚障害でも、損傷を受ける部位によって神経痛や感覚脱失など、現れる症状が異なります。
脳梗塞は薬物療法やリハビリテーションのほか、健康的な生活を心がけつつ再発予防に努めることが求められます。
ひとのわメディカルは、新しい治療である再生医療と、機能回復のための神経リハビリテーションを組み合わせて提供しているクリニックです。
脳梗塞によって損傷した部位の回復を目指しながら、リハビリテーションによるトレーニングを患者様に合わせて実施しています。
感覚障害やその他の機能低下でお悩みの方は、当院へご相談ください。