コラム

  • 再生医療

公開日: 更新日:

幹細胞培養上清液とは?使用される9つのケースと使用方法について

脳疾患による後遺症や認知症でお困りの方に向けて、幹細胞培養上清液について解説いたします。

脳梗塞や筋萎縮性側索硬化症(ALS)など脳神経系の疾患は、日常生活が難しくなることもあるのが大きな悩みとなるのではないでしょうか。
リハビリを行ってもあまり効果が感じられないケースもあるかもしれません。

そこで今回の記事では、幹細胞培養上清液についてご紹介いたします。

使用される9つのケースも解説いたしますので、参考にしていただければ選択できる可能性のある治療法のひとつとして検討できるでしょう。

幹細胞培養上清液とは?

「幹細胞培養上清液」とは幹細胞を培養したり増殖させたりしたときに利用した液の上澄み液のことです。

幹細胞培養上清液にも幹細胞からの良い成分が分泌されており、最近では治療に役立てられています。

含まれていると考えられている成分は次のとおりです。

【幹細胞培養上清液内の成分】

  • サイトカイン
  • エクソソーム・細胞外小胞
  • 成長因子
  • ヒートショックプロテイン
  • アミノ酸・ペプチド

当院で解析したところ含まれる成長因子・タンパク質の種類は1000種類を超えておりました。

これらの成分は、抗炎症作用・組織修復促進・神経保護・免疫調整作用などが報告され、近年、再生医療や難治性疾患への応用が研究・臨床応用されています。

関連記事:再生医療の効果とは?4つの治療方法の特徴と副作用・デメリット

関連記事:【医師解説】幹細胞治療と幹細胞培養上清液治療の違いとは

幹細胞培養上清液が使用されるケース

優れた効果を期待できるかもしれない幹細胞培養上清液。
一体どのようなところで使用されているのでしょうか?

幹細胞培養上清液の用途について、当院での9つの領域を解説していきます。
(※効果には個人差があり、すべての症状に有効性が確立されているわけではありません)

ケース1:脳卒中後遺症(脳梗塞・脳出血)

脳卒中後に残る麻痺やしびれ、筋力低下に対し、神経保護作用や抗炎症作用を期待して上清液を応用しています。
神経ネットワークの再生(神経可塑性)・痙縮の改善を促進する症例を報告しております。
幹細胞培養上清液の点滴とリハビリとの併用で回復を目指す治療が特徴です。

関連記事:脳梗塞の後遺症にみられる「しびれ」の種類と改善に役立つ方法

関連記事:再生医療:幹細胞上清液(エクソソーム)と脳梗塞治療、効果が出るメカニズムの解説

ケース2:筋萎縮性側索硬化症(ALS)

進行性の神経難病であるALSに対し、神経保護因子(BDNFやGDNFなど)を含む幹細胞培養上清液の投与による症状進行の抑制や症状改善を報告しております。
安全性を検証した先行研究も当院から報告しております。

関連記事:「難病ALSでもあきらめない:少しでも改善を目指すための最新治療と研究」

ケース3:アルツハイマー型認知症

「認知症」とは、様々な病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障を来した状態をいいます。

記憶障害や認知機能低下の進行に対して、神経炎症の抑制・神経細胞の保護を目的に上清液を応用しております。
臨床効果はまだ限られていますが、動物モデルでの改善報告があります。

関連記事:若年性アルツハイマーとは?進行ごとの症状・原因・治療方法について

ケース4:COVID-19後遺症

倦怠感、呼吸苦、集中力低下などの様々な症状をもつコロナ後遺症(Long COVID)に対して、免疫調整作用・抗炎症作用を持つ幹細胞由来成分の効果が期待されます。

世界中で、コロナ後遺症に対してのエクソソーム関連の治験はおこなわれており、一定の効果がでております。
当院においても、症状改善例がいくつもあります。

ケース5:リウマチ

幹細胞培養上清液は、リウマチの改善にも効果的であるとされています。

リウマチは関節に炎症が起きて、関節が破壊されていく疾患です。

自己免疫疾患のひとつであるリウマチに対して、免疫の暴走を抑える抗炎症性サイトカインや免疫調整因子の働きが注目されています。
従来の治療に効果が乏しい場合の選択肢として検討されています。

ケース6:神経難病(多発性硬化症、脊髄小脳変性症など)

神経の変性を伴う難病において、神経細胞の保護や炎症抑制の観点から上清液の応用が期待されています。

特に軸索損傷が主である難病や脊髄小脳変性症などにも効果が期待できます。
神経の保護の働きで効果が期待されますが、リハビリとの併用が重要になります。

ケース7:筋ジストロフィー

進行性の筋肉疾患に対し、筋再生の補助や筋繊維の維持に関わる因子の投与が筋力低下の進行を抑える可能性が研究されています。
患者さんの機能維持やQOL改善を目指した介入が進んでいます。

ケース8:アトピー性皮膚炎

幹細胞培養上清液の用途は幅広く、免疫の異常に対しても使用できます。

皮膚のバリア機能低下や慢性炎症であるアトピー性皮膚炎は、上清液の抗炎症・皮膚再生作用での治療の可能性があります。
外用療法や局所注射など、安全性の高い代替療法として検討しています。

ケース9:AGA・美容医療

疾患や障害の改善だけでなく、毛髪再生(AGA)美容用途にも利用されることがあるのが幹細胞培養上清液です。

毛髪再生(AGA)・美容治療を希望する方の多くは、組織の損傷が原因であることが多いです。
そのため幹細胞培養上清液により細胞や組織を修復することにより、美容効果を得られるケースがあるためです。

年齢を重ねたことによる皮膚の老化などを改善するために利用されることもあります。

幹細胞培養上清液の使用方法

幹細胞培養上清液は、さまざまな用途に利用できます。
それでは実際に使用される際には、どのような方法で投与されるのでしょうか?

方法1:全身投与

全身投与とは、点滴で静脈内に投与する方法です。
ブドウ糖液に幹細胞培養上清液を溶かし、血流に乗せて全身に循環させます。

当院の経験では、神経保護作用や筋肉の可動域への影響、肝機能の改善を認めており、慢性的な全身症状に対する治療として使用します。

方法2:脳内投与

直接脳に投与するわけではなく、点鼻によって脳に成分が届くように投与する方法のことを指します。
鼻腔から投与し、嗅神経や毛細血管を通じて脳へ届ける方法です。

認知症や記憶力の低下、脳卒中後の高次機能障害などの後遺症などに用いり、主に脳への効果を期待する場合には、脳内投与を行ないます。

関連記事:認知症で見られる8つの周辺症状の特徴と対応するためのポイント

方法3:局所投与

局所投与は膝の痛みや、皮膚の症状など表面の局所の患部に成分を届けるための投与方法です。

もし怪我などの場合は、損傷された組織に直接注入して投与することもあります。

幹細胞培養上清液の副作用

幹細胞培養上清液はさまざまな症状を改善する作用を持つとされますが、副作用がないわけではありません。

もし幹細胞培養上清液による治療を受けたいと検討されているなら、副作用についても知っておきましょう。
当院で公表しているデータの一部をご紹介します。

副作用1:下痢・腹痛

幹細胞培養上清液の静脈点滴後、一時的に下痢や腹痛が見られることがあります。
当院での報告では約3%程度に軽度の症状がみられ、多くの場合は翌日には自然に軽快しています。
ただし、症状の持続や悪化が見られる場合には速やかにご相談ください。

副作用2:痒み・発疹

幹細胞培養上清液の投与後に、軽度のアレルギー反応としてかゆみや発疹が現れることがあります。
当院では約1%程度の頻度で報告しており、症状は一時的なものから繰り返し出現する方まで個人差があります。

多くは軽症ですが、必要に応じて医師の判断で抗アレルギー薬を処方することもあります。

副作用3:低血糖とめまい

当院の上清液ではおこりませんが、上清液の製造方法によっては、重篤な低血糖やめまいが引き起こされることもあります。

幹細胞培養上清液にインスリンが含まれているためものもあり、効果があると思い大量に上清液を投与した場合に、大量のインスリンの作用で体内の血糖値を急激に下げるためです。

当院の上清液ではインスリンを使用しないため、低血糖の危険性はありませんが、大量投与をする場合にはご注意ください。

幹細胞培養上清液の費用

幹細胞培養上清液の費用はクリニックによって変わるものです。
1mlあたり11,000円から120,000円ほどで、価格差があります。

ほとんどのクリニックでは、少量ロッドのみでしか用意をしていない場合が多いです。
いずれにしても安価ではないため、費用面も考慮してクリニックを選択してください。

幹細胞培養上清液による治療の注意点

治療を受ける際には次のような点に注意しましょう。

【注意点】

  • 安全性の高い幹細胞培養上清液であること
  • 治療費用の総額を確認すること
  • 副作用が生じる可能性があること

最も注意すべきなのは安全性でしょう。

使用されている幹細胞の種類や製造されている施設、品質検査がされているかどうか、実績があるか確認したいところです。

トラブルを防ぐため、治療費用の総額に関する説明もしっかりと受けてください。
治療を受ける方は、治療前にご紹介した注意点を把握したうえで判断をすることが大切です。

幹細胞培養上清液はさまざまな治療に対応する

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、幹細胞培養上清液についてご理解いただけたと思います。

幹細胞培養上清液を使用できるケースは多岐にわたり、さまざまな治療に対応できる可能性があるでしょう。

ひとのわメディカルでは安全性があり、実績がある乳歯由来の歯髄幹細胞を使った上清液をご用意しております。
治療を受けたいと考えられているなら、お気軽にお問い合わせください。

院長 瀨田康弘の写真

瀨田 康弘

ひとのわメディカル 院長|再生医療認定医

神経疾患・難病への再生医療アプローチを専門とする。ALS特定臨床研究(jRCT031230731)の主研究者。