
若年性アルツハイマーの治療方法を探している方に向けて、選択できる治療方法や治療にあたって知っておきたい知識を解説します。
「人の名前が思い出せなくなった」「仕事が進まない…」などの悩みを抱えているなら、もしかすると「若年性アルツハイマー」かもしれません。
認知症は高齢の方の疾患というイメージが強いですが、ごく稀に、遺伝的な要因によって10代や20代で発症することもあります。
また、40代や50代の方が発症するケースもあります。
今回の記事では若年性アルツハイマーの原因や症状、治療法について解説していきます。
セルフチェックもご用意していますので、参考にしていただければご自身のリスクの高さや対処法についてご理解いただけるはずです。
目次
若年性アルツハイマーとは?

年性アルツハイマーとは、65歳未満で発症する認知症のうち最も多いタイプのひとつであるアルツハイマー型認知症のことを指します。
令和2年の調査においては、若年性認知症を患っている方は約35,700人に上ると推定されました。
若年性認知症にもいくつかの種類がありますが、特に多いのが若年性アルツハイマー型認知症であり、全体の52.6%とされています。
関連記事:【医師監修】家族が認知症になったら?接し方のポイント7選とやっておくべきこと
若年性アルツハイマーの症状

それでは若年性アルツハイマーになるとどのような症状が見られるのでしょうか?
初期・中期・後期と症状の進行ごとにわけて解説いたします。
初期の症状
まずは初期の症状から見ていきましょう。
次のような症状が見られたら、若年性アルツハイマーの初期段階であるかもしれないと疑ってみてください。
症状1:もの忘れ
もの忘れが多くなるのは若年性アルツハイマーの代表的な症状です。
本人が自覚することもありますし、「もの忘れが多くなった気がする」と家族が感じることもあります。
同じことを何度も聞いたり、カギや財布など大切なものを置き忘れたり、片付けた場所を忘れたりなどの症状が見られるようになります。
認知症によるもの忘れは、出来事自体を忘れてしまい、本人が自覚していないことも少なくありません。
もし認知症のような症状が見られるようなら、若年性アルツハイマーの初期症状とも考えられます。
症状2:不安・抑うつ状態
初期症状では不安感が強くなり、抑うつ状態になることがあります。
精神的にゆとりがなくなってきて、若年性アルツハイマーの病状に対するつらさが生じてきます。
結果的に抑うつ状態になったり、自己嫌悪感が高まったりすることにより、精神的なつらさを抱えることも少なくありません。
症状3:時間の見当識障害
初期の若年性アルツハイマーに見られる症状の一つに、時間の見当識障害があります。
現在の日付・時間・自分の居場所がわからなくなります。
そのため仕事や日常生活に支障が生じることもあるでしょう。
たとえば約束の時間を間違え、今が何月何日で、何時かがわからなくなることで、仕事上の失敗が増えるかもしれません。
関連記事:認知症で見られる8つの周辺症状の特徴と対応するためのポイント
中期の症状
続いては中期の若年性アルツハイマーの症状を解説します。
症状1:徘徊
若年性アルツハイマーの中期になると、徘徊をするようになる方も少なくありません。
原因は見当識障害により、自分のいる場所がわからなくなるためであることもありますが、次のような考えで外出をすることもあります。
【原因】
- 知らない人が家の中にいるから
- 知らない家にいるから自宅に帰りたい
家族の方にとっては外を歩いている目的がわからず、徘徊だと感じられてしまうかもしれません。
症状2:幻覚・妄想
続いては幻覚を見たり妄想をしたりする症状についてです。
認知症全般によく見られるのが「もの盗られ妄想」。
たとえば財布を片付けた場所を忘れてしまって、財布が見つからないため「家族に盗られた」と思ってしまうなどの症状です。
また場合によっては幻覚が見えるようになることもあるかもしれません。
レビー小体型認知症に多い症状であるため、若年性アルツハイマーの症状として現れることは稀です。
しかし実際に存在しない人が見えたり、存在しない人たちによる会話が聞こえたりすることもあります。
中期には以上のような幻覚や妄想が強くなることもあるでしょう。
症状3:失行
失行とは、日常的に行っていたはずの行動ができなくなることです。
たとえば洋服を着たり、紐を結んだり、文字を読んだり書いたりできなくなるなどが代表的でしょう。
洋服を着ようとして、襟ぐりに腕を入れてしまっても疑問を持たないなどの行動が見られる場合、失行の可能性があります。
ほかにもトイレの使い方がわからなくなるなど、こうした日常行動が困難になるのが失行です。
症状4:失語
失語は言葉を理解できない、話しにくくなるなどの症状のことを指します。
話しかけても会話が成立しない、言い間違いが多くなるなどの症状が見られるでしょう。
また単語を思い出せなくなり、「あれ」「それ」などの代名詞が多くなることもあります。
失語状態になると、会話がスムーズでなくなったり、できなくなったりするかもしれません。
症状5:場所の見当識障害
場所の見当識障害が起こることがあるのも中期若年性アルツハイマーの症状のひとつです。
見当識障害とは現在の状況を把握できなくなる症状を指します。
そのため何らかの目的があって外出したものの、帰り道がわからなくなって、遠方まで徘徊してしまうこともしばしば。
今現在の日付や時間、自分がいる場所がわからなくなり、自宅に帰る道がわからず迷子になることも珍しくありません。
症状6:実行機能障害
実行機能障害が起こることもあります。
実行機能障害とは、生活の中で実行すべきものごとをうまく遂行できなくなることです。
たとえば毎日していた料理の手順がわからなくなる、仕事のやり方がわからなくなるなどの症状があげられるでしょう。
実行すべきことの計画や順序がわからなくなることが実行機能障害です。
後期の症状
若年性アルツハイマーが進行した後の後期の症状について見ていきましょう。
症状1:表情が乏しくなる
若年性アルツハイマー後期になると、表情が乏しくなってくる方が多く見られます。
精神だけでなく身体も衰えてきて、行動が難しくなってくることもあり、次第に表情が乏しくなります。
会話も難しくなり、意思疎通も難しくなるかもしれません。
症状2:寝たきり
身体能力が低下し、自力で動けなくなると寝たきりになることもあります。
寝たきりになると家族の方による常時介護が必要です。
症状3:人の見当識障害
人の見当識障害が起きやすくなることも、若年性アルツハイマー後期の症状のひとつです。
後期まで進行した方に起きることが多く、家族の顔がわからない、知り合いの顔がわからないなどの障害が生じるかもしれません。
高齢者のアルツハイマーでもよく見られる症状です。
しかし若年性アルツハイマーであっても、中核症状であり多くの方が発症します。
参照:厚生労働省:(PDF)若年性認知症実態調査結果概要(R2.3)
参照:神奈川県産業保健総合支援センター:(PDF)若年性認知症における治療と仕事の両立に関する手引き
若年性アルツハイマーを発症する原因

若年性アルツハイマーの多くは、明確な原因が分かっていない「孤発性」のものですが、ごく一部に以下のような要因が関係することがあります。
- 遺伝性要因(家族性アルツハイマー病):PSEN1、PSEN2、APPなどの遺伝子変異
- 遺伝的素因(APOE ε4遺伝子を持つことがリスク要因)
一方、頭部外傷やアルコールの過剰摂取は「外傷性認知症」や「アルコール関連認知症」など別の認知症の原因として知られています。
これらは若年性アルツハイマー病とは異なる病態です。
若年性アルツハイマーになりやすい人の特徴

若年性アルツハイマーの多くは原因不明ですが、一部では以下のようなリスク因子との関連が示唆されています。
【特徴】
- 遺伝的要因(家族性アルツハイマー病の家族歴)
- 若年期にアミロイドβの沈着が始まりやすい体質(研究段階)
一方、以下の生活習慣は中年以降におけるアルツハイマー病全般のリスクを高めることが知られています。
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 高血圧や糖尿病などの生活習慣病
- ストレスや睡眠障害
- 不健康な食生活
若年性アルツハイマーの予防方法は確立されていませんが、認知症全般のリスクを減らすためにも、若いうちから生活習慣を整えることが大切です。
高齢になるほど発症するリスクは高まるものの、10代や20代でも発症する可能性はゼロではありません。
若いうちから生活習慣正しく整えることが大切です。
若年性アルツハイマーのセルフチェック

「若年性アルツハイマーでは?」と思われた方は、セルフチェックをしてみましょう。
【若年性アルツハイマーセルフチェック】
- 大切なものを片付けた場所がわからなくなることがある
- 5分前の会話を思い出せない
- 周りの人からもの忘れを指摘されることが多い
- 今日の日付がわからなくなることがある
- 単語や会話がスムーズに出てこない
- 支払いをしたり自分の金銭を管理したりすることが難しい
- 買い物に1人で行けない
- 公共交通機関を使って1人で外出できない
- 掃除や電話をかけるなどの日常生活が難しい
若年性アルツハイマーは早期発見することが重要です。
もし上記の項目で該当する部分が多ければ、認知症の診断・治療に対応している医院を受診して専門医による診察を受けてください。
※あくまで目安であり、最終的な診断は専門医による評価が必要です。
若年性アルツハイマーの治療方法

もし上記のセルフチェックに該当したとしたら、どのような治療を受けることになるのか不安な方もいらっしゃるでしょう。
若年性アルツハイマーの治療方法は主に3種類あります。
治療方法1:薬物療法
「薬物療法は、アルツハイマー型認知症の治療法として長年用いられてきました。」
現在では次の4種類の薬剤の中から、状況に応じたものを選んで治療に使用しています。
【若年性アルツハイマーへの治療薬】
| 特徴 | 副作用 | 適応 |
|---|---|---|---|
アリセプト | 抑うつ・無関心にも効果的 | 悪心・下痢 | 軽度~高度 |
レミニール | 神経伝達物質分泌を促す | 悪心・下痢 | 軽度~中等度 |
リバスタッチ | 貼付薬で使いやすい | 皮膚症状 | 軽度~中等度 |
メマリー | 興奮・攻撃性抑制にも効果的 | めまい・頭痛・傾眠 | 中等度~高度 |
薬剤の効果には個人差があり、患者様により適していると思われるものを選んで治療を進めます。
関連記事:アルツハイマー型認知症の治療|薬物療法や非薬物療法、サイトカイン療法について解説
治療方法2:再生医療
最近では再生医療の若年性アルツハイマーの治療方法のひとつとして提供されています。
有効成分を投与して脳内の細胞や神経の働きを高めることにより、認知症改善を促す治療方法です。
成分投与することにより脳に直接的な作用を与え、さらに痛みがなく、侵襲性が低いことが特徴と言えます。
再生医療による治療を受ければ、脳機能の活性化が期待できるかもしれません。
ひとのわメディカルクリニックの再生医療について
ひとのわメディカルでは、幹細胞培養上清液(SHED-CM)などを用いた再生医療を提供しており、神経の修復や機能維持を目的とした治療を行っています。
これは、幹細胞が分泌するサイトカインや成長因子などの有効成分を用いることで、体への負担が少なく、非侵襲的に治療を行えるのが特徴です。
関連記事:再生医療の効果とは?4つの治療方法の特徴と副作用・デメリット
関連記事:再生医療にリスクはある?3つのリスクと事前に知っておきたい注意点
関連記事:再生医療:脳卒中(脳梗塞・脳出血)に実は効果がなかった???
治療方法3:リハビリ療法
非薬物療法として広く用いられているのがリハビリ療法です。
リハビリ療法は薬物療法のように、若年性アルツハイマーの症状に対する高い効果が実証されているわけではありません。
しかし五感を用いることによって、脳への刺激が高まる可能性もあるでしょう。
若年性アルツハイマーが発症した際のサポート制度

若年性アルツハイマーを発症した場合、生活が難しくなったり、金銭的な負担が大きくなったりすることがあります。
そこで活用したいのがサポート制度です。
公的サポートとして次のようなものが用意されていますので、うまく活用して生活への負担を軽減していきましょう。
自立した生活を促す制度
若年性アルツハイマーを発症した方の自立した生活を促すための制度として、「介護保険制度」と「成年後見人制度」について解説します。
制度1:介護保険制度
「介護保険制度」は、介護サービスを利用する際の費用負担が軽減される制度です。
要介護認定・要支援認定を受けた方が対象となり、認定のレベルによって軽減される金額や利用できるサービスが変わります。
たとえば自宅に設置する手すりや介護用ベッドを割安でレンタルできたり、介護施設を利用できたりなどのサービスが受けられます。
生活をするうえでの大きなサポートとなる制度ですので、まずは介護保険制度の申請をしてください。
制度2:成年後見人制度
1人での判断が難しい方に向けての意思決定支援制度が「成年後見人制度」です。
若年性アルツハイマーになると、貯金や資産の管理、公的な手続きなどが難しくなることがあります。
そのようなときに頼れるのが成年後見人制度です。
法律行為を実行するときの保護や支援を行う役割を果たします。
特にご家族が近くにいない方であれば、ぜひ利用したい制度です。
生活費の補助および免除に関する制度
若年性アルツハイマーになると収入が減り、生活が苦しくなることもあるでしょう。
そこで生活費の補助や免除が受けられる制度の利用も検討してください。
制度1:障害者手帳および特別障害者控除
若年性アルツハイマーの症状が進行すると、認知機能の障害により「障害者手帳」の交付対象となることがあります。
手帳の等級に応じて福祉サービスや交通機関の割引などが受けられることがあります。
また、症状が重度であれば、税法上の「特別障害者」として、所得税や住民税の控除対象となることもあります。
特別障害者に該当する場合には、所得控除として年間40万円の「特別障害者控除」が適用されます。
さらに、特別障害者を扶養している家族にも控除が適用される場合があります。
申請には医師の診断書や障害者手帳の等級が必要になることがありますので、詳しくは税務署または市区町村の福祉窓口にご相談ください。
制度2:住宅ローンの支払い免除
住宅ローンがあるなら、支払いの免除を受けられる可能性があります。
ローンの種類により変わりますが、団体信用生命保険に加入しているなら、高度障害状態となったときに免除されるかもしれません。
ご自身の契約内容を確認してください。
制度3:生活保護
若年性アルツハイマーになった場合、「生活保護」を受けられるかもしれません。
生活が苦しい方の保障を行う自治体からの支援制度です。
預貯金がなく、働くことが難しく、年金や手当を使っても生活が苦しい場合に受けられる可能性があります。
受けるための条件は厳しいものの、生活が保障されるだけの支援を受けられるため生活に困窮するならぜひ利用しましょう。
参照:厚生労働省:生活保護制度
医療費に関する制度
最後にご紹介するのは、医療費に関して利用できる制度です。
若年性アルツハイマーになると医療費が高額になりがちとなるため、支援制度を活用して金銭的負担を軽減させてください。
制度1:医療費控除
「医療費控除」は、年間の医療費が一定以上となった場合に所得税の控除を受けられる制度です。
医療費の支払い総額は世帯が対象となり、次の計算式から算出されます。
医療費総額 − 保険金などからの補填額 − 10万円(または所得200万円未満の場合は所得の5%
上記の計算式でプラスの金額が算出されれば控除の対象です。
総所得金額が200万円未満の場合は、計算式でプラスにならなくても総所得金額の5%が対象となります。
医療費が高額になったなら、確定申告を行って医療費控除を受けましょう。
参照:国税庁:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
制度2:自立支援医療制度
心身の障害による医療費自己負担額を軽減するのが「自立支援医療制度」です。
若年性アルツハイマーは精神科通院となるため、精神通院医療が対象となる自立支援医療制度を活用できます。
支援制度は所得や症状の重さによって異なります。
継続的な治療が必要となったり症状が重度であったりする場合はぜひ活用してください。
参照:厚生労働省:(PDF)自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み
制度3:高額療養費制度
「高額療養費制度」は1か月間の自己負担額が上限を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。
上限額は所得に応じて決められ、若年性アルツハイマーの治療を継続的に受けている場合、経済的な支援を受けられることがあります。
世帯で合算されるため、同じ世帯にいる方が医療サービスを受けた金額も併せて負担を軽減可能です。
参照:厚生労働省:(PDF)高額療養費制度を利用される皆さまへ
制度4:高額介護サービス費
介護サービスの利用金額が高額になった際には、「高額介護サービス費」を利用しましょう。
利用者負担額の限度額を超えた際に利用できる制度で、上限額を超過した分が払い戻されます。
世帯収入に応じて負担上限額は変わりますが、負担限度額を超えた介護サービスを安心して利用できるよう支援する制度です。
若年性アルツハイマーは早期の発見・治療が重要

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで若年性アルツハイマーについてご理解いただけたと思います。
若年性アルツハイマーの進行を抑制するには、早期の発見・治療が重要です。
ひとのわメディカルでは、若年性アルツハイマーに対して再生医療を活用したアプローチも行っております。
神経機能の維持や認知機能の改善を目指し、より良い日常生活を支援することを目的としています。
現在もその安全性や有効性について継続的に検証を行っておりますので、ご関心のある方はお気軽にご相談ください。
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