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スマホ認知症セルフチェック|受診の目安も医師が解説

「最近、人の名前がすぐに思い出せない」「スマホを見る時間が長くなってから集中力が続かない」「もしかして認知症ではないか」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

近年、「スマホ認知症(デジタル認知症)」という言葉を耳にする機会が増えています。しかし、スマホ認知症は医学的な正式診断名ではありません。スマートフォンの長時間使用や情報過多、睡眠不足などが重なることで、一時的に物忘れや集中力の低下など、認知症に似た症状を感じる状態を指す俗称です。

一方で、物忘れや集中力の低下の背景には、認知症や軽度認知障害(MCI)、睡眠障害、うつ病などが隠れていることもあります。そのため、「スマホの使いすぎだから大丈夫」と自己判断することはおすすめできません。

この記事では、スマホ認知症が気になる方に向けて、セルフチェックの方法や受診の目安、改善のためにできることをわかりやすく解説します。

スマホ認知症(デジタル認知症)とは

スマホ認知症とはどのような状態?

スマホ認知症(デジタル認知症)とは、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器を長時間使用することで、物忘れや集中力の低下、言葉が出にくい、頭がぼんやりするといった、認知症に似た症状を感じる状態を指す俗称です。

スマートフォンそのものが認知症を引き起こすという意味ではありません。SNSや動画、検索、ゲームなどから大量の情報を受け続けたり、通知によって集中力が何度も中断されたり、睡眠不足が続いたりすることで、一時的に認知機能が低下したように感じることがあります。

また、スマートフォンの過度な使用は、注意力やワーキングメモリ、睡眠の質などとの関連が報告されています。ワーキングメモリとは、情報を一時的に保持しながら処理する能力で、会話や仕事、家事など日常生活で重要な役割を担っています。

認知症・MCI・若年性認知症との違い

スマホ認知症と、医学的な認知症や軽度認知障害(MCI)、若年性認知症は区別して考える必要があります。

種類

特徴

スマホ認知症

正式な病名ではありません。スマホの使い方や生活習慣が影響し、一時的に物忘れや集中力の低下を感じる状態です。

認知症

記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障が生じる病気です。

MCI(軽度認知障害)

認知機能の低下はありますが、日常生活はおおむね自立している状態です。

若年性認知症

65歳未満で発症する認知症の総称です。

スマホの使用時間を減らしたり、睡眠や生活習慣を見直したりすることで改善が期待できる場合は、スマホの使い方が影響している可能性があります。

一方で、次のような症状がある場合は、スマホだけが原因とは限りません。

  • 物忘れが徐々に悪化している
  • 同じことを何度も聞いてしまう
  • 約束や予定を頻繁に忘れる
  • 仕事や家事に支障が出ている
  • 家族から物忘れや性格の変化を指摘されている

このような場合は、認知症やMCI、睡眠障害、うつ病、甲状腺疾患などが関係していることもあるため、医療機関への相談を検討しましょう。

セルフチェックの前にスマホの使用状況を確認しましょう

セルフチェックを始める前に、まずはご自身がどのくらいスマートフォンを使っているのかを確認してみましょう。

「あまり使っていない」と思っていても、実際にはSNSや動画、検索、ゲームなどに多くの時間を費やしていることがあります。まずは使用状況を客観的に把握することが大切です。

スクリーンタイム・デジタルウェルビーイングを確認する

iPhoneでは「スクリーンタイム」、Androidでは「デジタルウェルビーイング」から、1日の使用時間や利用時間の長いアプリを確認できます。

まずは直近1週間で使用時間が長いアプリを上位5つほど確認してみましょう。

順位

アプリ

1日平均

用途

1位

Instagram

1時間30分

SNS

2位

YouTube

1時間10分

動画

3位

LINE

50分

メッセージ

4位

Safari・Chrome

40分

検索

5位

ゲーム

35分

ゲーム

どのアプリに多くの時間を使っているかを把握することで、自分のスマホの使い方を客観的に見直すきっかけになります。

スマホ認知症セルフチェック

ここからは、スマホ認知症が気になる方に向けてセルフチェックを行います。

このチェックは診断を目的としたものではありません。スマートフォンの使い方や生活習慣を振り返るための目安として活用してください。

チェックは次の3つの項目に分けて確認します。

  • 記憶力・集中力
  • 生活習慣
  • スマホ依存傾向

① 記憶力・集中力チェック

チェック項目

当てはまる

人や物の名前がすぐに出てこない

□

調べた内容をすぐ忘れてしまう

□

文章が頭に入りにくい

□

会話中に言葉が出にくい

□

仕事や家事のミスが増えた

□

集中が続かない

□

スマホを見たあと何をしようとしていたか忘れる

□

予定や約束を忘れることが増えた

□

② 生活習慣チェック

チェック項目

当てはまる

寝る直前までスマホを見ている

□

夜中に通知が気になってスマホを見る

□

スマホで寝る時間が遅くなる

□

朝起きても疲れが残る

□

日中眠気がある

□

休日に長時間スマホを使う

□

運動不足である

□

人と直接話す機会が少ない

□

③ スマホ依存傾向チェック

チェック項目

当てはまる

スマホがないと落ち着かない

□

予定より長く使ってしまう

□

使用時間を減らせない

□

通知が来るとすぐ確認してしまう

□

手持ち無沙汰になるとスマホを開く

□

SNSや動画をやめられない

□

家族から「見すぎ」と言われる

□

食事中や会話中もスマホを見る

□

仕事や勉強、家事に支障がある

□

セルフチェックの結果は、あくまで現在のスマホとの付き合い方や生活習慣を見直すための目安です。次章では、チェック結果の見方や、今日からできる改善方法について詳しく解説します。

セルフチェックで当てはまった場合に考えられること

セルフチェックで当てはまる項目が多かった場合でも、すぐに認知症と判断する必要はありません。

まずは、どの項目に当てはまったのかを確認し、ご自身のスマートフォンの使い方や生活習慣を見直すことが大切です。

当てはまる数

目安

0~4項目

現時点では大きな心配は少ないと考えられます。スマホで疲れを感じる場合は、使用時間を見直してみましょう。

5~9項目

スマホの使い方や生活習慣が、集中力や睡眠に影響している可能性があります。まずは生活習慣の改善から始めましょう。

10項目以上

スマホの使用が日常生活へ影響している可能性があります。生活習慣を見直しても改善しない場合は、医療機関への相談も検討しましょう。

また、点数だけで判断するのではなく、「どの項目に当てはまったのか」を振り返ることも重要です。

スマホの使い方から生活習慣を振り返ってみましょう

スマホの使い方にはさまざまな傾向があります。ご自身がどのタイプに近いかを知ることで、改善のポイントが見えてきます。

タイプ

特徴

情報過多型

SNS・ニュース・ショート動画などを長時間見続けている

注意分断型

通知やメッセージで集中が何度も途切れる

報酬依存型

ゲームやショート動画を予定より長く続けてしまう

外部記憶依存型

検索やメモ、予測変換に頼る機会が多い

睡眠不足型

寝る前までスマホを使い、睡眠時間や睡眠の質が低下している

※この分類は、スマートフォンの使用傾向をわかりやすく整理するための当院独自の分類であり、医学的に確立された分類ではありません。

複数のタイプに当てはまる方も少なくありません。大切なのは、自分の生活の中でどのような使い方が負担になっているのかを知り、無理のない範囲で改善していくことです。

スマホ認知症の改善に向けて今日からできること

スマホ認知症と呼ばれる状態は、スマートフォンそのものではなく、使い方や生活習慣が大きく関係していると考えられています。

そのため、スマートフォンを完全にやめる必要はありません。まずは日常生活の中で続けられることから始めてみましょう。

① スマホの使い方を見直す

まずはスクリーンタイムやデジタルウェルビーイングで、自分がどのアプリに多くの時間を使っているか確認しましょう。

そのうえで、次のような工夫がおすすめです。

  • SNSや動画を見る時間をあらかじめ決める
  • 不要な通知をオフにする
  • 仕事や勉強中は集中モードを活用する
  • スマホを手の届かない場所に置く時間を作る
  • ゲームや動画はタイマーを設定する


「少しだけ」のつもりが長時間になることも少なくありません。使用時間を可視化するだけでも、使い方を見直すきっかけになります。

② 「思い出す習慣」を増やす

スマートフォンは便利な一方で、検索やメモ、予測変換に頼る場面が増えています。

便利な機能を使うこと自体は問題ありませんが、次のような習慣を取り入れることもおすすめです。

  • すぐ検索する前に一度考えてみる
  • 人や物の名前を思い出してから検索する
  • 予定を頭の中で確認してからカレンダーを見る
  • 漢字や言葉を予測変換に頼りすぎない

「思い出す」という行動を意識することは、日常生活の中で無理なく取り組める方法の一つです。

③ 睡眠と生活習慣を整える

睡眠は、記憶や集中力を維持するうえで重要な役割があります。

寝る直前まで動画やSNSを見続けたり、夜中に通知を確認したりする習慣は、睡眠の質を低下させる原因になることがあります。

まずは次のようなことから始めてみましょう。

  • 就寝30分前はスマホを見ない時間を作る
  • 充電場所をベッドから離す
  • 夜間通知をオフにする
  • 起床・就寝時間をできるだけ一定にする

一度にすべてを変える必要はありません。続けられることを一つずつ取り入れることが大切です。

④ 適度な運動と会話を取り入れる

適度な運動や人との会話は、認知機能の維持にも役立つとされています。

激しい運動である必要はありません。散歩やストレッチ、階段を使うなど、日常生活の中で身体を動かす時間を少し増やすだけでも十分です。

また、人と会話をすることは、相手の話を理解し、自分の考えを言葉にするため、自然と記憶力や注意力を使う機会になります。

スマホを見る時間を少し減らし、その分だけ身体を動かしたり、人と話したりする時間を増やすことが、生活習慣の改善につながります。

改善しない場合は自己判断しないことが大切です

スマホの使い方や生活習慣を見直しても、物忘れや集中力の低下が続く場合は、スマートフォン以外の原因が隠れている可能性があります。

無理に「スマホのせい」と決めつけるのではなく、症状が続く場合や日常生活へ影響が出ている場合は、医療機関で相談することをおすすめします。

次章では、受診を検討した方がよい症状や、何科を受診すればよいのかについて詳しく解説します。

このような症状がある場合は医療機関への受診を検討しましょう

セルフチェックで当てはまる項目が多かったとしても、必ずしも認知症というわけではありません。

一方で、物忘れや集中力の低下の原因がスマートフォンだけとは限らず、認知症や軽度認知障害(MCI)、睡眠障害、うつ病、甲状腺疾患、ビタミン不足、脳血管障害などが関係している場合もあります。

特に次のような症状が続く場合は、一度医療機関で相談することをおすすめします。

症状

受診をおすすめする理由

同じことを何度も聞く・話す

記憶障害が目立っている可能性があります。

約束や予定を頻繁に忘れる

日常生活へ影響が出始めている可能性があります。

仕事や家事のミスが明らかに増えた

注意力や判断力の低下が関係している可能性があります。

慣れた道で迷うことがある

記憶や空間認識の異常が隠れている可能性があります。

家族から物忘れや性格の変化を指摘された

本人では気付きにくい変化が起きていることがあります。

スマホの使用時間を減らしても1か月以上改善しない

スマホ以外の原因が隠れている可能性があります。

言葉が出にくい、手足が動かしにくい、強い頭痛がある

脳や神経の病気の可能性もあるため、早めの受診が必要です。

これらの症状があるからといって、必ず認知症とは限りません。しかし、原因を早めに確認することで、適切な治療や生活習慣の改善につながる場合があります。

スマホ認知症が気になる場合は何科を受診する?

物忘れや集中力の低下が気になる場合は、症状に応じて次のような診療科が相談先になります。

診療科

相談しやすい症状

脳神経内科

物忘れ、言葉が出にくい、手足の動かしにくさなど

もの忘れ外来

認知機能が気になる場合

精神科・心療内科

不眠、不安、気分の落ち込み、ストレスが強い場合

かかりつけ医

どこを受診すべきか迷う場合

受診時には、次のような内容を整理しておくと診察がスムーズになります。

  • いつ頃から症状があるか
  • どのような症状があるか
  • 仕事や家事への影響
  • スマートフォンの使用時間
  • 服用中の薬や持病

「スマホ認知症かどうか」を診断するというよりも、物忘れや集中力低下の原因を確認するために受診すると考えるとよいでしょう。

認知機能の低下が続く場合はご相談ください

セルフチェックで当てはまる項目が多かった方や、生活習慣を見直しても物忘れや集中力の低下が続く方は、一人で悩まず医療機関へ相談することも大切です。

まずは症状の原因を確認し、必要に応じて検査や治療を検討します。

認知機能の低下にはさまざまな原因があるため、生活習慣の改善だけでなく、認知症や神経疾患などの可能性も含めて評価することが重要です。

ひとのわメディカルでできること

ひとのわメディカルでは、認知症や神経疾患に対する再生医療についてご相談をお受けしています。

歯髄幹細胞培養上清液は、歯の神経に由来する幹細胞を培養した際に得られる上清液です。基礎研究や動物実験では、神経保護作用や抗炎症作用、血管新生に関わる作用などが報告されていますが、認知症に対する標準治療として確立されているものではありません。

また、すべての方に同じ効果が期待できる治療ではなく、症状や病態によって適応や期待できる効果は異なります。

当院では患者さんのお話を丁寧に伺いながら、現在の状態やお悩みを確認し、一人ひとりに合わせた治療についてご説明しています。

「物忘れが続いて不安」「認知機能の低下が気になる」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

スマホ認知症は本当にありますか?

スマホ認知症は医学的な正式診断名ではありません。スマートフォンの使い方や生活習慣などが影響し、認知症に似た症状を感じる状態を指す俗称です。

スマホ認知症は改善しますか?

スマートフォンの使い方や睡眠、運動などの生活習慣を見直すことで改善が期待できる場合があります。ただし、症状が続く場合は他の病気が隠れていることもあるため、医療機関へ相談しましょう。

若年性認知症との違いは何ですか?

若年性認知症は65歳未満で発症する認知症です。一方、スマホ認知症は正式な病名ではなく、生活習慣などが影響して認知症に似た症状を感じる状態を指します。

スマホをやめれば改善しますか?

完全にやめる必要はありません。使用時間を見直したり、睡眠や運動など生活習慣を整えたりすることが大切です。

どのくらい続いたら受診した方がよいですか?

生活習慣を見直しても改善しない場合や、物忘れが悪化している場合、仕事や家事に支障がある場合は、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。

まとめ

スマホ認知症は、スマートフォンの使い方や生活習慣などが影響し、物忘れや集中力の低下などを感じる状態を指す俗称です。

まずはスクリーンタイムなどを活用して、ご自身のスマートフォンの使い方を見直してみましょう。また、睡眠や運動、生活リズムを整えることも大切です。

一方で、物忘れが徐々に悪化している場合や、仕事・家事に支障が出ている場合、生活習慣を改善しても症状が続く場合は、認知症やMCIなど他の病気が関係している可能性もあります。

セルフチェックはあくまで気づきのきっかけです。不安な症状がある場合は自己判断せず、医療機関へ相談しましょう。

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瀨田 康弘

ひとのわメディカル 院長|再生医療認定医

神経疾患・難病への再生医療アプローチを専門とする。ALS特定臨床研究(jRCT031230731)の主研究者。