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再生医療認定医が解説
さて、エクソソームという言葉がだいぶ広がってきました。自費診療クリニックではエクソソーム治療という項目を掲げるクリニックが増えてきたと思います。この文章を読んでいる方も、クリニックなどで「エクソソーム」と聞いてなんだろう?と思った方もいるのではないでしょうか?
実際にエクソソームを理解している方はどのくらいいるでしょうか?
本日は、再生医療認定医(再生医療学会)のひとのわメディカル院長の瀬田康弘が、エクソソームについて解説していきます。
まだ研究段階ではありますが、今回は論文も引用しながらエクソソームについて説明していきます。
メインで引用する論文は、学術分野で知られる科学雑誌「Science」のレビューを参考にしていきます。
エクソソームとは?
- 細胞がコミュニケーションをとるための道具の一つ
- エクソソームを出す細胞の種類が重要
- エクソソームは将来、治療やがんの診断に有効
これらについて説明していきたいと思います
エクソソームの定義
エクソソームの定義は、直径30〜150nmほどの大きさで、細胞膜と同じ二重の脂質膜でできている小胞体です。このように説明されることが多いですが、最初にこれを聞いたとき、多くの人は「イメージがつかない」と思われるかもしれません。これは、細胞についての知識がないと少し難しい話だからです。
エクソソームは、小さなカプセル、小包なのです。
細胞同士がコミュニケーションをとるための道具としてエクソソームを使います。
細胞は一つの細胞だけで生きているわけではなく、私たちの体の中には約37兆個の細胞が存在します。これらの細胞が勝手に増殖すると、がん細胞のように問題が生じます。しかし、通常は細胞同士がコミュニケーションを取り合って調整をしています。
例えば、近くの細胞が死んでしまったときに「助けて」というメッセージを伝える方法が必要です。細胞は声を出すことができないので、自分の中からメッセージを送り出します。それがエクソソームやサイトカインと呼ばれるものです。このようなものを使って細胞たちは、他の部分に指示を出します。
従来、科学はサイトカインやホルモンのような単一物質に注目してきました。これらは薬として使用され、たとえば糖尿病で使用されるインスリンなどがこれにあたります。しかし、単一物質だけでなく、まとめてメッセージを送る方法もあります。それがエクソソームです。
エクソソームはカプセルであるため、安定性を保ち、壊れにくくなります。エクソソームのおかげで、細胞の外に出すと壊れやすいメッセージ物質(mRNAやHSP(ヒートショックプロテイン))なども送ることができます。
エクソソームでサイズの話や小胞体という言葉がつかわれますが、大事なのはエクソソームとはメッセージを送る手段の一つであるということです。

エクソソームはこのような形をしています。たくさんの成分が入っていることがわかります。
もう少し身近な例で説明しましょう。
「はたらく細胞」ってご存知でしょうか?
とても分かりやすく細胞たちを表現している漫画です。(https://shonen-sirius.com/series/sirius/saibou/)
こちらの漫画で説明をしていきましょう。
細胞たちは私たちと同じように、社会や組織の中で生きています。

この図のように、これだけたくさんの細胞たちが共同生活をしています。平和な時には、自分たちの仕事だけをしていればよいです。
ただ、先ほどのように「助けて」という合図や、ウイルスなどの敵襲が来た!という時にはどうすればよいでしょうか?細胞はSNSをやるどころか、声を出すこともできません。
その時に使用されるのが、エクソソームやサイトカインなのです。

サイトカインはお手紙
「はたらく細胞」の中にもサイトカインの説明があります。ウイルス感染という緊急時には、サイトカインというお手紙が配られます。サイトカインが免疫細胞に「やる気を出して」のようなメッセージを送ります。
エクソソームは小包
一方、漫画には出てきていませんが、サイトカインがお手紙なら、エクソソームは小包なんです。

例えるならば、ヤマトさんから、段ボールで小包が届くようなものです。エクソソームという小包の中には、壊れ物が入っていたり、たくさんのメッセージが入っています。サイトカインはお手紙のように、頑張れ!という少しだけの情報ですが、エクソソームという小包には細かく指示が入っていたりします。
日常のわかりやすい言葉でまとめると、「エクソソーム」とは、細胞同士がコミュニケーションをとるための道具(小包・カプセル)と表現できます。
- サイトカイン;お手紙(単一メッセージ)
- エクソソーム:小包(様々なメッセージや必要な成分などがまとまっている)
エクソソームの役割
エクソソームは細胞間のコミュニケーションに重要な役割を果たしていますが、他にもどのような役割を担っているのか簡単に説明します。
- 細胞コミュニケーション
- 免疫調整
- 老廃物の除去慢性期(維持期・生活期)
細胞コミュニケーション
一番の役割は、やはり細胞同士のコミュニケーションです。例えば、「助けて」や「これを作って」といった信号を送ることです。これがエクソソームの重要な機能です。
これは先ほどのご説明の通り、メッセージを伝える道具として行っています。
免疫調整
その他重要な役割としては、免疫反応と感染の調整があります。バイ菌が体内に侵入したとき、免疫細胞がそれを倒す指示を出しますが、この調整を行っているのもエクソソームが関わっています。感染のメインは免疫細胞でマクロファージなどが重要ですが、エクソソームは、マクロファージといった免疫細胞に指示を出す役割も果たしていると考えられています。 再生や修復の必要がある場合にその調整を行うことも知られています。 そのほかの機能としては、生物の進化や生殖にも影響を与えるとされ、エクソソームが心臓病や糖尿病の調整にも関与している、というデータもあります。さらに脳梗塞や脳出血や神経ネットワークの修復にもかかわっています。
- 脳梗塞
- 脳出血
- 神経修復
- 心臓病
- 糖尿病
免疫調整もメッセージを伝える手段の一つです。免疫細胞は体の中の警察のようなものです。緊急時には出動してもらわなければならないため、”働いて”というメッセージがあります。一方、ずっと警察が動き回っても、少し不安ではないでしょうか?そういう時には、警察である免疫細胞にも”休んでください”という指示を伝えるためのエクソソームも必要なのです。さらに言えば、動き回って”壊してしまったものを治して”というメッセージも出したりします。それが再生のメカニズムで、再生医療で大事なことになります。
老廃物の除去
しかし、エクソソームには悪い面もあります。例えば、がん細胞がエクソソームを利用して他の細胞にがん細胞を伝播させることが研究で示されています。がんの転移の仕組みはまだ完全には解明されていませんが、エクソソームが関与している可能性が高いです。
癌だけでなく、神経系の難病であるパーキンソン病やALSなどでは、エクソソームが神経細胞間で異常タンパク質や「ゴミ」を伝達し、病気の進行を助長していると考えられています。
細胞もごみや良くない情報をだすのです。私たちの社会でも誰かが、悪い情報を流したり、人をだましたりしてしまうと、社会が混乱してしまうのと似たようなものでしょうか。
細胞の種類によっては、良くないエクソソームが存在することがあるということです。
エクソソームの応用例
では、エクソソームが私たちの身近にどのように関わっていくかについて説明します。
- 治療目的(再生医療)
- ドラッグデリバリーシステム(DDS)
- がん診断
治療目的(再生医療)
一つは、良いエクソソームを判別しエクソソームそのものを使って、それを集めて投与する治療法があります。細胞間のコミュニケーションを通じて「これをやりなさい」という指示を直接伝えることで、組織の修復や再生を促すことが期待されます。
これが、再生医療で大事な面です。良い細胞からの良い情報を集めれば、細胞たちに良い動きを指示できると思いませんか?これを行っているのが、再生医療で、私たちはそのメッセージをより効率的に集め、脳梗塞や脳出血、ALSなどの治療に使用しています。
こちらについては、別の記事でお伝えしますので、お待ちください。

ドラッグデリバリーシステム(DDS)
エクソソームを加工することで、薬剤を運ぶためのドラッグデリバリーシステム(DDS)として利用することも考えられています。エクソソームは細胞間で容易に受け入れられるため、その中にさまざまな薬剤を入れて運搬することで、さまざまな治療が可能となります。
た、エクソソームを加工することで、薬剤を運ぶためのドラッグデリバリーシステム(DDS)として利用することも考えられています。エクソソームは細胞間で容易に受け入れられるため、その中にさまざまな薬剤を入れて運搬することで、さまざまな治療が可能となります。
あて名の書いてある小包の中に、治療薬を入れることができたら、とても効果的なのです。今、多くの研究者がこれを研究して、癌だけが受けとってくれるエクソソームを作成するなどして再生医療を発展させています。

癌の早期診断
さらに重要な点として、エクソソームは病気の診断の際に注目されています。がん細胞が転移したり他の細胞に情報を伝える際にエクソソームが関与しているためです。このエクソソームを調べることで、がんの早期発見が期待されます。
癌や悪い細胞もたくさんの情報を出しています。特に怖いものがエクソソームのなかに、転移の原因となるものをいれているのでは?ということも最近考えられています。ただ、逆に言えば癌の伝達方法がわかれば、先に治療できる可能性があるのです。再生医療による早期発見・早期治療。いままでよりも早い発見ができる未来がそう遠くないかもしれません。

ここまででエクソソームについて説明しました。
上清液、サイトカイン、EV、これらの違いは?
しかし、エクソソームとよく一緒に聞かれる言葉として、上清液、サイトカイン、細胞外小胞(EV)があります。これらの違いについて説明していきます。
サイトカイン
サイトカインはタンパク質の一種で、細胞のメッセンジャーの一つです。細胞同士の情報伝達を行う役割があります。
先ほどの「はたらく細胞」という漫画の表現で言えば、「お手紙」のことですね。
細胞外小胞(EV)
細胞外小胞(EVとも言います)とは何でしょうか?エクソソームは細胞が分泌する「小包」ですが、細胞は他にもさまざまな種類の「小包」を分泌します。これらを総称してEV(イーブイ:エクストラセルラー・ベシクル)と呼びます。EVには、不要な物質を排出するためのゴミ袋のようなものも含まれます。
エクソソームがメッセージを伝えるための「小包」なら、EVはメッセージ伝達以外の用途での「小包」とお考えください。
幹細胞培養上清液・上清液
上清液は、細胞を培養(育てる)する際に使用する培養液のことです。この液体には、細胞が分泌するエクソソームやサイトカインなどが豊富に含まれています。これらの成分を含んだ培養液が上清液です。
こちらはいままでとは少し違って、上清液はサイトカインもエクソソームもすべてを含んだ、総合的なメッセージです。手紙でも、段ボールでもなんでも必要な情報を伝えします。
図にすると、以下のようになります。

実はエクソソームは○○だった!?
ここまでの説明でおわかりのように、エクソソームは上清液の中に存在するのです。
エクソソームの作り方を説明を簡単に説明します。
細胞を育てて、上清液を大量に製造します。そこからエクソソームを何工程もかけて精製していきます。厳密な基準を持つ研究所では、純粋なエクソソームを製造して研究しています。しかし、日本のクリニックでは、実際には上清液のことをエクソソームと呼んでいます。
エクソソーム=上清液にしているのです。
つまりエクソソームは上清液なのです。
上清液にはエクソソームが含まれているため、完全に間違っているわけではありませんが、正確な理解がないまま扱っているクリニックもあるかもしれません。
ひとのわメディカルでは企業と連携し共同で研究を行っています。オリジナルの培養機器の開発、上清液の精製を行っており、難病に効果がある上清液を製造し、患者様に提供しています。
我々の研究でも、エクソソームは抽出するのが大変であり、且つ濃縮をしなければならないことがわかっています。エクソソームのみを治療で使用するにはまだ課題があります。
エクソソーム・幹細胞培養上清液の疑問
- そのエクソソーム(上清液)はどうやって作られているのでしょうか?
- エクソソーム(小包)の中身は?
- どの細胞から作られているの?
- 安全基準などはどのようになっているの?
- 上清液の実績はどうなっているの?
- 脳梗塞や脳出血に効果があるの?
上清液やエクソソームの安全性やエビデンスはまだ完全ではありませんので、再生医療を受けられるなら、しっかりと実績がある医療機関での治療をおすすめします。
エクソソーム、上清液については、これからも情報発信していきますので、是非こちらのコラムをブックマークをしてチェックしてください。
ひとのわメディカルは、 「難病x再生医療」を軸に、「患者様に寄り添い、一緒に病気に向き合う」医療を提供している医療機関です。
特に、脳卒中(脳出血、脳梗塞)後遺症に対して、上清液点滴治療とリハビリをセットで提供しています。
<ひとのわメディカルの特徴>
- 難病に効果のある上清液の開発 ・再生医療認定医の院長
- 4000回以上の上清液投与実績 後遺症で全く動かなかった身体の部位が治療によって動くようになった事例がたくさんあります。
上清液の治療効果についてはこちらをご参照ください。
https://hitonowa-medical.com/casestudy/
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