
家族のもの忘れが増えたり、脳卒中の後遺症による認知機能の変化が見られたりして、将来への不安を抱えている状況はつらいものです。
病院でMMSEという検査を受けるよう勧められ、どのような内容なのか詳しく知りたいと感じている場合も多いのではないでしょうか。
本記事では、MMSEの具体的な評価項目や点数の見方、長谷川式認知症スケールとの違いについてお伝えします。
諦めかけていた機能回復を目指すための新しい治療法である再生医療についても触れていますので、ぜひ今後の選択の参考にしてください。
目次
MMSEは認知機能を調べるためのスクリーニング検査
医療機関や介護施設において、利用者の認知状態を客観的に把握することは適切なケアを提供するために欠かせません。
世界中で広く用いられているMMSEの全体像を把握するため、以下2つを順にお伝えします。
- 検査の目的と評価できる認知機能の範囲
- MMSEで明らかになること・ならないこと
各項目を知ることで、検査がどのような意味を持つのかが明確になります。
検査の目的と評価できる認知機能の範囲
MMSEは、記憶力や計算力などがどの程度保たれているかを短時間で確認するために作られた検査です。
特別な器具を使わず、10分から15分程度の短い時間で実施できるため、受検者の負担が少ないのが特徴です。
質問に答えたり図形を描いたりする過程を通じて、見当識や言語能力など多様な能力を総合的に測定できます。
得られた点数は、認知機能の低下が始まっているかどうかの目安として使われます。
定期的に実施すれば、時間の経過とともに状態がどのように変化しているのかを数値として追跡できるものです。
MMSEで明らかになること・ならないこと
検査を通じて明らかになるのは、現時点での総合的な認知機能のレベルと、低下している具体的な能力の傾向です。
記憶が苦手になっているのか、空間を認識する力が落ちているのかなど、日常生活で支援が求められる分野の推測に役立ちます。
一方で、点数が低いからといって特定の認知症であると断定できません。
確定診断を下すためには、脳の画像検査や血液検査、医師による詳細な問診などを組み合わせる過程が求められます。
あくまでも状態を大まかに把握するための手段として活用されることを覚えておきましょう。
MMSEの11の評価項目と採点基準
実際の検査では、異なる角度から受検者の能力を確認します。
どのような内容が問われるのかをイメージできるよう、以下11項目を順に見ていきます。
- 時間の見当識
- 場所の見当識
- 即時想起
- 注意と計算
- 遅延再生
- 物品呼称
- 文の復唱
- 口頭指示
- 書字指示
- 自発書字
- 図形模写
各項目の意図を知ることで、結果をより深く理解できるでしょう。
見当識(けんとうしき)とは、「今がいつで、自分がどこにいて、誰といるか」という、置かれている状況を理解する能力のことです。
1. 時間の見当識
今自分がいる時間的な位置を認識できているかを確認するための質問です。
「今年は西暦何年ですか」「季節は何ですか」「今日は何曜日ですか」といった、日常生活の中で自然に把握しているはずの基本的な日時を尋ねます。
年・季節・月・日・曜日の5つの項目についてそれぞれ回答を求め、正解するごとに1点が加算されて最大5点となります。
日付の感覚は認知機能が低下し始めた初期の段階で失われやすいため、現在の状態を測るうえで有用な指標です。
2. 場所の見当識
自分が現在どこにいるのかという空間的な位置関係を、把握できているかを評価します。
「ここは何県ですか」「何市ですか」「この施設は何という名前ですか」など、今いる場所に関する5つの質問に答えます。
時間の見当識と同じく、1項目正解するごとに1点が与えられ、満点で5点となる仕組みです。
外出先で道に迷いやすくなったり、自宅にいるのに別の場所にいると勘違いしたりする症状が現れていないかを確認できます。
3. 即時想起
新しい情報を、一時的に脳に留めておく短い記憶力を測るためのテストです。
検査者が互いに関連性のない3つの単語をゆっくりと読み上げ、受検者にそのまま繰り返して発音してもらいます。
1つの単語をいえるごとに1点となり、最大で3点が与えられる仕組みです。
もし一度で覚えられなかった場合は、あとで行う別の質問に備えて、すべていえるようになるまで最大6回繰り返して伝えます。
聞いた言葉を瞬時に脳に取り込んで声に出すという、他者との意思疎通の基本となる能力を確認します。
4. 注意と計算
1つの作業に意識を集中させながら、頭の中で数字を処理する能力を確かめます。
具体的な方法として、100から順に7を引き続けてもらう計算を5回繰り返します。
正しい答えを出すごとに1点が加算され、最高は5点です。
もし計算が難しい場合は、「フジノヤマ」や「セカイチズ」などの言葉を後ろから逆の順番でいってもらう課題に変更されることもあります。
情報を一時的に保持しながら処理する働きをみる項目です。
5. 遅延再生
先ほど覚えた情報を一定の時間が経過したあとでも思い出せるか、という記憶の定着具合を評価します。
「3. 即時想起」の項目で暗記してもらった3つの単語を、別の作業を挟んだタイミングでもう一度答えてもらいます。
正しい言葉を1つ思い出すたびに1点が与えられ、満点で3点です。
新しい出来事を脳に記録し、必要なときに引き出すという一連の働きが正常に機能しているかを調べます。
アルツハイマー型認知症などで初期から目立ちやすい、数分前の出来事を忘れてしまう症状の発見に役立ちます。
6. 物品呼称
検査者は時計と鉛筆(またはボールペンなどの身近な文房具)を順に受検者の前に提示し、「これは何ですか」と尋ねます。
2つの品物それぞれの名前を答えられれば、1点ずつ加算されて合計2点となります。
私たちが普段無意識に行っている、視覚からの情報を脳で処理して適切な単語と結びつける働きを評価する項目です。
言葉がすぐに出てこないといった、失語症などの言語に関する障害の有無を把握するのに役立ちます。
7. 文の復唱
他人が話した短い文章を聞き取り、一字一句間違えずにそのまま繰り返していう能力を確かめるテストです。
検査者が短い文章を一度だけ読み上げ、受検者に続けて発声してもらい、復唱できた場合のみ1点が与えられます。
言葉を聞き取る聴覚の働きと、内容を瞬間的に記憶する力、そして構音器官を使って発音する働きが連携できているかを総合的に見ます。
会話の内容を理解してやり取りを続けるための、基礎的な言語機能の評価です。
8. 口頭指示
耳から入った複数の指示を理解し、いわれたとおりの順番で行動に移せるかを確認します。
- 右手にこの紙を持ってください
- それを半分に折りたたんでください
- 私に渡してください
という3つの動作を連続して伝えます。
それぞれの指示された動作を実行できるごとに1点が入り、最高で3点です。
言葉の意味を理解する力と、その情報に基づいて自分の身体をコントロールする実行機能が保たれているかを測ります。
日常生活において、複雑な手順を伴う作業をこなせるかどうかを知る目安になります。
9. 書字指示
目で読んだ文字の情報を理解し、その内容に合わせて自分の意思で行動できるかを評価する項目です。
検査者は「目を閉じてください」と書かれた紙を受検者に見せ、そこに書かれている指示のとおりに行動するよう促します。
実際に目を閉じる動作ができれば1点が与えられます。
口頭でいわれたことではなく、視覚から得た言語情報を読み取って運動の命令へと変換する能力を確認するものです。
文字を読んで理解する機能が保たれているかを確かめることで、手紙の読み書きや案内表示の理解といった生活能力の推測につながります。
10. 自発書字
自分の頭に浮かんだ考えを、意味の通じる文章として文字で書き表せるかを確かめます。
白紙と鉛筆を用意し、思いついた短い文章を自由に1つ書いてもらいます。
主語と述語が含まれた意味のある文章が書けていれば1点です。
ただ単語を羅列するだけでなく、文法に則った文章を組み立てる能力が備わっているかをみます。
自発的に文章を構成して意思を伝えるという、より高度な言語機能を評価する項目です。
11. 図形模写
空間を認識し、見たものを自分の手で再現する能力を確認するための課題です。
五角形が2つ重なり合っている図形が描かれた紙を見せ、その横に同じ図形を書き写してもらいます。
すべての角が5つあり、指定された形で交差していれば1点が加算されます。
目で見た図形の形や比率、位置関係を脳内で処理し、指先の細やかな動きに変換して描画する機能が保たれているかを評価するための項目です。
着替えがうまくできないといった、空間認識の低下によって引き起こされる生活上の困難さを予測する材料になります。
MMSEの点数の読み方とカットオフ値
MMSEは満点が30点で、得られた点数によって認知機能の状態を3つの段階で判定します。
点数 | 判定 |
|---|---|
28〜30点 | 正常範囲(認知機能に目立った低下なし) |
24〜27点 | 境界域(認知機能の低下が疑われる) |
23点以下 | 認知機能の低下が疑われる(カットオフ値) |
ただし年齢や教育の背景によっても結果は変動するため、点数だけで病気を確定できません。
結果を踏まえて医師の総合的な診察を受ける流れへと進みます。
MMSEと長谷川式認知症スケールの違い
認知機能を測る検査として、MMSEと並んでよく知られているのが長谷川式認知症スケールです。
両者は目的が似ていますが、中身には違いがあります。
特徴を比較するため、以下3つの観点から違いを明確にします。
- 評価項目
- 回答方法
- カットオフ値
それぞれの特性を知ることで、状況に応じた適切な検査を選べます。
評価項目
長谷川式は、記憶や見当識などの評価に重点を置いて作られています。
記憶を測る配点が全体の多くを占めているため、もの忘れが初期症状として現れやすいアルツハイマー型認知症の発見に優れています。
対してMMSEは、言語を操る力や空間を認識する力など、幅広い能力を総合的に測定するように設計された検査です。
そのため、言葉が出にくくなる失語や図形が描けなくなる症状など、脳卒中の後遺症による高次脳機能障害の評価にも適しています。
回答方法
長谷川式はすべての質問に対して口頭で答えるだけで進行するため、手足に麻痺がある方や視力が落ちている方でも比較的スムーズに受検できるという利点があります。
ベッドに寝たままの姿勢でも実施しやすいのが特徴です。
一方のMMSEは、口頭でのやり取りに加えて、文章を書いたり図形を描いたりする動作が含まれます。
手を使って紙と鉛筆を操作する動作が求められるため、身体的な障害が影響して点数が下がってしまう可能性を考慮しながら実施する配慮が求められます。
カットオフ値
長谷川式は30点満点のうち、20点以下となった場合に認知症の疑いが強いと判定されます。
対するMMSEは同じく30点満点ですが、基準となる点数は23点以下に設定されています。
このように点数のボーダーラインが異なるため、両方の検査を受けた場合は数字だけを単純に比べられません。
それぞれのテストが持つ独自の基準に照らし合わせて、専門の医師や医療スタッフが結果を慎重に解釈して今後の対応方針を検討します。
認知機能低下や後遺症を諦めない!新たな選択肢「再生医療」
検査結果を受けて、脳卒中の後遺症や認知機能の低下にもう回復の見込みがないと落ち込むご家族は少なくありません。
しかし、機能の改善を目指せる新しい治療法が注目を集めています。
以下2つを対比しながらお伝えします。
- 一般的な「幹細胞治療」と「歯髄幹細胞培養上清液」の違い
- ひとのわメディカルの「歯髄幹細胞培養上清液」による治療
先端医療の仕組みを理解すれば、希望を持って治療に取り組めるはずです。
一般的な「幹細胞治療」と「歯髄幹細胞培養上清液治療」の違い
傷ついた組織の修復を促す再生医療には、大きく分けて2つの手法があります。
一般的な幹細胞治療は、患者自身の細胞を採取して培養し、再び体内に戻す方法です。
自分の細胞を使うため拒絶反応は少ないものの、細胞を取り出す身体的な負担や培養にかかる長い期間、そして高額な費用が課題となります。
一方で歯髄幹細胞培養上清液治療は、細胞を培養する過程で分泌される有効成分だけを抽出した液体を使います。
細胞そのものを含まないため安全性が高く、抽出や培養を待つ期間がないため、速やかに治療を開始できるのが強みです。
事前の手術などもありませんので、低侵襲です。
ひとのわメディカルの「歯髄幹細胞培養上清液」による治療
ひとのわメディカルでは、神経修復に関わるサイトカインを豊富に含むとされる「ヒト乳歯由来歯髄幹細胞培養上清液(U-Signal™)」を採用しています。
若くて生命力にあふれた乳歯の細胞から得られる成分が、傷ついた神経や血管の修復を後押しします。
さらに、成分によって身体の環境を整えた状態で、VRリハビリ「mediVRカグラ」などを活用した先進的な専門リハビリを掛け合わせるのが特徴です。
成分の力と高度な訓練を同時に行うことで、従来の手法では限界とされていた脳卒中の後遺症に対しても相乗効果が期待できます。
MMSEで現状を知ることが認知機能回復への入口となる
MMSEは、現時点での脳の働きを点数で把握できる優れた検査です。
もし点数が低かったとしても、機能の回復を諦める必要はありません。
「どうせ治らない」と諦める前に、一度立ち止まって選択肢を探してみてください。
ひとのわメディカルでは、歯髄幹細胞培養上清液による再生医療と神経リハビリを組み合わせ、患者様の生活の質向上を目指しています。
脳卒中後遺症・ALS・認知症などでお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。