
突然の激しい頭痛に襲われるくも膜下出血は、発症後の生活に不安を抱えやすい病気です。
一命を取り留めたあとも手足の麻痺などの後遺症が残り、これ以上の回復は難しいのではないかと悩むご家族は少なくありません。
本記事では、病気の発症率や原因といった基礎知識から、退院後の生活を支える制度まで解説します。
さらに、従来のリハビリで限界を感じている方に向けた、再生医療による新たな治療の選択肢もお伝えしますので、参考にしてください。
目次
くも膜下出血とはどのような病気か
くも膜下出血は脳卒中の一種であり、発症の仕組みや特徴を把握しておくことが予防や早期発見につながります。
病気の全体像を捉えるため、以下2つの基本的な項目を解説します。
- 脳を包む三層の膜と出血が起こる仕組み
- 脳卒中全体の中での位置づけと日本の発症率
これらを知ることで、病気への理解が深まり適切な対処ができます。
脳を包む三層の膜と出血が起こる仕組み
くも膜下出血は、脳の表面を覆う膜のすき間で出血が起こる病気です。
人間の脳を外側から順に守っているのは、硬膜・くも膜・軟膜という三層の膜です。
このうち、くも膜と軟膜の間にある空間を「くも膜下腔」と呼び、ここには脳脊髄液という液体が満たされており、多くの血管が通っています。
何らかの理由でこの血管が破れると、くも膜下腔に血液が一気に流れ込み、脳全体に強い圧力がかかります。
これが、くも膜下出血が起こる仕組みです。
脳の組織を直接圧迫するため、危険な状態を引き起こします。
脳卒中全体の中での位置づけと日本の発症率
くも膜下出血は、脳の血管に異常が起こる「脳卒中」の一種です。
日本における年間発症率は、10万人あたり50から60人と報告されています。
ほかの脳卒中である脳梗塞や脳出血と比べて、発症直後の致死率が高いのが特徴です。
40代から70代で発症しやすく、脳卒中の中で唯一、男性よりも女性の発症率が高い傾向にあります。
働き盛りや定年後の活発な時期に突然発症することが多いため、社会生活に与える影響が大きい病気だといえます。
参照:国立研究開発法人国立循環器病研究センター「脳出血患者予後の影響、社会復帰を妨げるのは“隠れ脳梗塞”だった」
発症前に気づいておきたい前兆と症状
くも膜下出血は突然発症する印象が強いものの、一部の場合では事前の兆候が現れることがあります。
重篤な状態を防ぐためにも、見逃してはいけない3つの異変や症状の現れ方を知っておきましょう。
- 発症の数日から数週間前に現れやすい前兆の特徴
- 発症時にみられる代表的な症状と見落としやすいサイン
- 前兆を感じたときに受診すべき診療科と判断の基準
異変を早期に察知し、迷わず医療機関へ向かうことが命を守ることに直結します。
発症の数日から数週間前に現れやすい前兆の特徴
くも膜下出血を発症する前には、警告となる特有の異変が現れることがあります。
これは、脳の血管にできたこぶ(動脈瘤)から少量の血液が漏れ出たり、こぶが周囲の神経を圧迫したりすることで起こります。
具体的には、普段とは違う軽い頭痛や、ものが二重に見える、まぶたが下がるといった症状が代表的です。
これらの前兆は発症の数日から数週間前にみられることが多く、数日で治まってしまうことも少なくありません。
そのため、疲労によるものだと放置してしまいやすく、注意深く観察する必要があります。
発症時にみられる代表的な症状と見落としやすいサイン
本格的に発症した際の症状は、これまでに経験したことのないような突発的な激しい頭痛が特徴です。
よく「金属製のバットで頭を殴られたような痛み」と表現され、痛みが持続して吐き気や嘔吐を伴います。
一方で、出血量が少ない場合は「軽い頭痛がする」といった見落としやすい兆候にとどまることもあります。
首の後ろが硬くなって、曲げにくくなる症状(項部硬直)がみられる場合も少なくありません。
いつから痛くなったか分かるような突然の頭痛、最大限の警戒が求められます。
前兆を感じたときに受診すべき診療科と判断の基準
急激に頭痛が起こったり意識がもうろうとしたりする場合は、迷わず救急車を呼ぶことが、命を救うための判断基準となります。
初期の段階でCTやMRIなどの画像検査を受け、出血の有無や動脈瘤の状態を把握できれば、そのあとの重症化を未然に防ぐ可能性が高まります。
少しでもくも膜下出血を疑う症状がある場合は、ただちに「脳神経外科」や「救急科」に相談してください。
頭痛や吐き気だけだと一般内科にかかりがちですが、脳血管の異常を診断するためには、専門的な検査設備を持つ脳神経外科が適しているからです。
くも膜下出血の原因と発症リスクを高める要因
病気を未然に防ぐためには、なぜくも膜下出血が起こるのか、その背景にある要因を理解することが欠かせません。
発症のリスクを高める原因として、以下3つの要素が関係しています。
- 発症の約80〜90%を占める脳動脈瘤破裂とその仕組み
- 高血圧・喫煙・飲酒など改善できるリスク要因
- 女性に多い理由となりやすい年代の傾向
生活習慣や年齢的な背景を振り返り、改善できるポイントを見つける参考にしてください。
発症の約80〜90%を占める脳動脈瘤破裂とその仕組み
くも膜下出血の多くの原因は、脳の血管にできた「脳動脈瘤」と呼ばれるこぶが破裂することです。
全体の約80〜90%がこの動脈瘤の破裂によって引き起こされるものです。
動脈瘤は、血管の枝分かれしている部分など血流の負担がかかりやすい場所にできやすく、風船のように膨らんで血管の壁が薄くなります。
普段は無症状であることがほとんどですが、血圧の急激な上昇などが引き金となって薄い壁が耐えきれずに破れ、大量の血液がくも膜下腔に流れ出すという仕組みです。
こぶができる原因には、生まれつきの血管の弱さも関係しています。
高血圧・喫煙・飲酒など改善できるリスク要因
生活習慣の中にも、くも膜下出血の発症リスクを高める要因が潜んでいます。
注意すべきなのは、高血圧と喫煙、過度な飲酒の3つです。
高血圧は血管の壁に常に強い負担をかけるため、動脈瘤ができやすく、かつ破裂しやすい状態を作り出します。
たばこに含まれる有害物質は血管を収縮させて動脈硬化を進行させます。
大量のアルコール摂取も血圧の変動を招くため危険です。
これらは毎日の心がけ次第で改善できる要素であるため、生活習慣の見直しが有効な予防策となります。
女性に多い理由となりやすい年代の傾向
くも膜下出血は男性よりも女性の発症率が高く、年齢が上がるにつれて男女差は大きくなる傾向があり、とくに50代以降の女性に多くみられます。
その理由としてあげられるのが、女性ホルモンであるエストロゲンの減少です。
エストロゲンには血管の健康を保ち、柔軟性を維持する働きがあります。
しかし、閉経を迎える50代頃からこのホルモンの分泌が急激に低下するため、血管の壁がもろくなり動脈瘤が発生しやすくなる時期でもあるのです。
年齢や性別は変えられませんが、リスクが高まる時期を知ることで定期的な脳ドックの受診などにつなげられます。
退院後の生活に影響を与えるくも膜下出血の後遺症
くも膜下出血は、急性期の治療を乗り越えて一命を取り留めたあとも、脳のダメージによるさまざまな障害が残る場合があります。
退院後の生活を見据えるうえで、知っておくべき3つの要点を解説します。
- 手足の麻痺や言語障害などの身体的な後遺症
- うつや高次脳機能障害などの精神的・脳神経の後遺症
- 患者の家族ができるサポートと活用可能な公的制度
それぞれ見ていきましょう。
手足の麻痺や言語障害などの身体的な後遺症
くも膜下出血では、出血した部位や出血量、治療までの時間、その後の合併症の有無などによって、現れる後遺症の程度は大きく異なります。
軽症の場合には大きな後遺症を残さず日常生活へ復帰できることもありますが、脳出血や脳血管攣縮による脳梗塞、水頭症などを合併した場合には、さまざまな神経症状が残ることがあります。
代表的な後遺症としては、体の左右どちらかが動かしにくくなる片麻痺、しびれなどの感覚障害、食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなる嚥下障害などが挙げられます。
また、言葉が出にくい・相手の話を理解しづらいといった言語障害や、注意力・記憶力の低下、物事をうまく進められないなどの高次脳機能障害がみられることもあります。
さらに、歩行が不安定になる、尿失禁を認めるなど、日常生活に影響を及ぼす症状が続く場合もあります。
これらの後遺症に対しては、退院後も継続的なリハビリテーションや生活支援が重要となります。
残された神経機能を活かしながら、少しでも身体機能や生活能力の回復を目指していくことが大切です。
うつや高次脳機能障害などの精神的・脳神経の後遺症
身体的な問題だけでなく、目に見えにくい精神面や脳の認知機能に後遺症が出る場合もあります。
脳の損傷部位によっては、記憶力が低下したり、感情のコントロールが難しくなったりする「高次脳機能障害」を引き起こすことがあります。
病気に対する不安や生活の変化への負担から、気分が激しく落ち込む「うつ状態」に陥る方も少なくありません。
これらは外見からは分かりにくいため、周囲から誤解されやすいという難しさがあります。
焦らずに患者のペースに寄り添い、専門医のケアを継続して受けることが大切です。
患者の家族ができるサポートと活用可能な公的制度
後遺症と向き合う生活において、ご家族による適切なサポートや公的な支援制度の活用は頼りになります。
家庭内では、段差をなくすなどの住環境の整備や、本人の小さな回復を褒めて精神的な支えになることが求められます。
同時に、経済的な不安を和らげるために障害年金などの制度を積極的に利用しましょう。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取れる年金です。
医療機関のソーシャルワーカーに相談し、利用できる制度を早めに確認しておくと安心です。
参照:日本年金機構「障害年金」
後遺症の回復を諦めない新たな選択肢「再生医療」
通常のリハビリを続けていても回復が頭打ちになり、限界を感じる方は少なくありません。
そうした状況を打破し、さらなる機能改善を目指すために知っておきたい3つの新しい選択肢を紹介します。
- 幹細胞そのものではなく「乳歯幹細胞培養上清液」を用いる治療とは
- 神経疾患(脳卒中後遺症など)への効果が期待できる理由
- 先進的なリハビリ機器と組み合わせて機能回復をサポートする
ひとのわメディカルの提供する独自の方法から、諦めかけていた未来への可能性を探ります。
幹細胞そのものではなく「乳歯幹細胞培養上清液」を用いる治療とは
細胞を直接体に移植する幹細胞治療は、投与した細胞の9割以上が死滅してしまったり、血管に詰まって命にかかわったりするリスクが課題とされてきました。
しかし、ひとのわメディカルが提供する「乳歯由来の幹細胞培養上清液」は、幹細胞を培養する過程で生じる上澄みの液体(上清液)だけを点滴などで体に取り入れる方法です。
細胞そのものを投与しないため、上記のようなリスクを抑えて安全に治療を行えます。
当院では5,000件以上の投与実績があり、副作用も3~5%程度です。
子どもの乳歯から得られた成分を無細胞の状態で活用し、体への負担を抑えながら治療を実現しています。
神経疾患(脳卒中後遺症など)への効果が期待できる理由
ひとのわメディカルが脂肪や骨髄ではなく「乳歯」にこだわる理由は、乳歯の幹細胞が神経系の細胞と似た性質を持っているからです。
乳歯幹細胞培養上清液には「サイトカイン」と呼ばれる情報伝達物質が豊富に含まれています。
これらが損傷した脳の神経細胞や血管の新生、修復を促し、炎症を抑える働きが期待できます。
本来、一度死滅した神経細胞は再生しないとされてきました。
しかし、乳歯由来の成分が神経のつながりの再構築を後押しすると考えられています。
体の内側から自己再生能力を高め、くも膜下出血などの脳卒中後遺症の機能回復に役立つと期待されています。
先進的なリハビリ機器と組み合わせて機能回復をサポートする
再生医療による機能回復をさらに後押しするためには、上清液の点滴だけでなく、質の高いリハビリテーションとの組み合わせが欠かせません。
ひとのわメディカルでは、VRリハビリ「mediVRカグラ」を活用したリハビリ機器や、装着型のロボットリハビリ「HAL®」など、先進的な技術を取り入れた訓練を並行して行います。
上清液によって脳の神経回路が修復されやすいときに、機器を用いて正しい体の動かし方を繰り返し学習させることで、脳への刺激がより効果的に伝わります。
細胞レベルのケアと先進技術を組み合わせることで、諦めかけていた動作の改善を力強く支えるでしょう。
まとめ:くも膜下出血を正しく知って回復への可能性を広げるために
くも膜下出血は、突然の激しい頭痛とともに命を脅かす危険な病気です。
一命を取り留めたあとも、手足の麻痺や高次脳機能障害など、日常生活に支障をきたす後遺症に悩まされる場合が少なくありません。
しかし、現在の医療技術は進歩しており、従来の回復期リハビリだけでは改善が難しかった症状に対しても、再生医療という新たな選択肢が広がっています。
ひとのわメディカルでは、細胞そのものを使用せず、リスクを抑えながら神経疾患の機能回復をサポートする「乳歯幹細胞培養上清液」を用いた治療を提供しています。
後遺症の回復を諦めず自分らしい生活を取り戻したいとお考えの方は、ぜひ一度ひとのわメディカルの専門医にご相談ください。